<第十九話>家 族
「昨夜電話が掛かって来て、皆であなたの事をとても心配したのよ。
今日のお見舞いも全員で行こうかって相談した位だったのよ。
幸い怪我が大したことがなくて、検査の為の入院だって説明を受けたから、結局二人には会社や大学にちゃんと行ってもらったけれどね。
さっき私から、静の様子を伝える連絡を入れたら、二人ともすぐ既読が着いたのよ。
遥はまぁ、いつも早いけれど、普段のパパなら、仕事中にスマホの確認なんてしないのにね。
『病院に着いたら、絶対に様子を連絡しなさい』って言っていたし、やっぱりかなり心配していたんだなぁって思ったわ。」
「えっ、いつ連絡したの?気が付かなかった。」
私が驚いて聞いた。
「花瓶に花を入れに言った時よ。病室でスマホとか使っちゃいけないのかな?って思っていたから、洗面所から連絡したの。素早いでしょ。」
母がしたり顔で答えてくれた。
「分かっている?静ちゃん。入院するのも、交通事故に遭ったりしたのも、静が家族で初めてなのよ。
これは、もう大事件だよね。
さぁ、じゃあちゃんと話してもらいましょうか。昨夜の事故に遭った経緯というものを。」
母がベッドの隣に座った。




