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<第十八話>お見舞い

 翌日。頭部の精密検査は、夕方からに決まった。


 会社に有休の連絡を入れ、朝食を食べていた時に、

 「おはよう、静。体調はどう?」

 と母が笑顔で病室に入ってきた。


 「おはよう、お母さん。うん、大丈夫元気よ。朝早くからお見舞いに来てくれてありがとう。」

 私も笑顔で答えた。


 朝食を食べている間に、母は花瓶に花を飾って戻って来た。

 「やっぱり、お見舞いに花束を持ってくると、病室が明るくなるわね。

 静ちゃん、知ってる?お見舞いに鉢植えは買っちゃ駄目なのよ。根付くって意味で、NGなんだからね。」


 「うん。亡くなったおじいちゃんのお見舞いに行った時に、お母さんから聞いた気がするな。」


 「あら?また同じ事言っちゃったの。ごめんね。いつも静ちゃんに教えなきゃって考えちゃうんだろうね、きっと。


 ところで静ちゃん、最近痩せた?少し顔色も悪いけれど、ちゃんとご飯食べているの?」

 母が心配そうに私の顔を覗き込んできた。


 「えっ?痩せていないと思うよ、多分。体重計無いからはかってないけれど…。ご飯は、まぁ、食べるようにはしているよ。」


 …確かに。最近残業から帰ると、そこからご飯の準備をするのも面倒で、コンビニ弁当を食べれば良い方というような日々を過ごしがちだった。


 (…まずいなぁ、どうしてバレちゃっているんだろう…。)


 「ふふふ、お母さんなんだから、隠したってちゃんとお見通しなのよ。

 静はね、お家にいた時『ご飯』って言わなくてもご飯が出てくる生活を、ずっと当たり前に過ごして来ていたんだよ。

 忙しいのに急に一人暮らしなんて始めたって、家事をする時間を作ることにも苦労しているだろうって、ちょっと考えればすぐに分かっちゃうんだよ。」

 お母さんが名探偵のように話してきた。


 「でもね、そのお母さんにも分からない謎があるのよ。

 静ちゃん、運動神経はいい方だったよね。

 どうして交通事故に遭いそうになんてなったの?

 もしかして、突然悪い車が静の方に突っ込んできたのかしら?」


 まだ名探偵のような口調で話してはいたが、冗談を言いながら聞いてきているのではなかった。

 …母の顔は、真剣だった。


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