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<第十七話>付き添い

 「事故の話が終わり、後は、西谷さんの意識の回復待ちという状況でしたから、警察の方は帰りました。


 だから私達は、東山さんも帰ると思ったのですが、彼から、

『意識が戻るか心配だから、気が付くまで残っていてもいいでしょうか?

 あっ!?…でも病室に勝手に入るのはよくないですね。

 …でもそれじゃあ、気が付いたのも分からないですね。

 …あのう、こういう意識の無い状況の患者さんが気が付くまで、病院ではどうされているんですか?やっぱり看護師さんが病室で付き添っているのですか?』

と質問してきたんですよ。


 ですから、

『通常はご家族の方に付き添ってもらい、意識が戻ったら、ご家族から私達を呼んでもらうようになっています。


 ただ今回の場合は、一人で寝ていてもらい、定期的に私達の巡回のタイミングで確認する事になります。申し訳ないのですが、私達も他の患者さんがいるので、ずっと付き添う事は難しいのです。』

と答えました。


 そうしたら彼が、

 『じゃあ、部屋の外にいて、僕が定期的に部屋の様子を確認してもいいですか?そうすれば、巡回のタイミングより数多く確認することができます。

 自分の不注意で頭を打って、意識がなくなっている方が、気が付いた時に一人ぼっちで不安な状況になるのがどうにも忍びなくって…。


 彼女が気が付いたら、すぐにナースコールをすれば、大丈夫ですか?』

ととてもあなたの様子を心配しながら聞いてきました。


 そこで、面会時間の終了を告げる放送が鳴ったら帰っていただく約束で、病室の端に椅子を置いて、様子を確認していただく事になったんです。

 

 廊下と病室をあまり頻繁に出入りされるのも、他の患者さんに迷惑をかける事になるかもしれませんでしたのでそうしたのですが、西谷さんの同意も無かったのに、すみませんでした。」

飯野さんが、申し訳なさそうに言った。


「あっ、いえ、大丈夫です。ありがとうございました。

気が付いた時、誰だろうと思って少し固まってしまいましたが、私が誰なのかと確かめる間もなく、彼はすぐに帰ってしまいました。


 でも、そんな風にずっと心配していただいた方だったのに…どうしましょう、私、お礼も言えてないですね…。」

 私は、話を聞いて、飯野さんと同じように彼の親切さに驚いていた。


 でも、もういなくなってしまっている彼に、今さらどうすればいいのかわからなかった。


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