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第九十七話 雷獣降臨
飛騨からの帰り道、虎千代は顔を沈ませ、口を閉ざしていた。段蔵もあえて元気をなくした虎千代に、話しかけようとはしなかった。
僕はいったい何者なんだ?虎千代は、思い出していた。飛騨山中で己が骸とした、山伏達の無残な有様を、鬼斬り丸が自分に見せた幻影を。
父上が冷たかったのも、母様の心中に宿した恐怖も、この力の所為なのか?常人の物ではない。悪鬼そのものだ。僕は悪魔の化身なのか?虎斬り丸も言っていた。血を求めて殺戮を繰り返していたと。あれが本当の僕だとしたら……。




