87/388
第八十七話
為景の顔は朱に染まり口には臓物が咥えられていた。為景の前を見やると、側室の一人が腹を割られて死に絶えていた。
為景は側室に向きを戻して、臓腑を一心不乱に喰らった。
「とと様」
虎千代は眉を顰め、嘆きの声が漏れた。
「為景様がご乱心され始めたのは城内で変死が繰り返され始めた頃からだ」
「虎御前様が殺して回っているとのうわさだぞ」
「家中に鬼がいるのやもしれぬ。呪われた家なのだ」
「長尾家はもう長くないかもしれぬな」
家中の者たちの揶揄が走馬灯のように虎千代の前を流れていった。




