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第八十話
半分風化した今にも倒れそうな鳥居をくぐり、洞窟の中に段蔵が足を踏み入れた途端、重苦しい空気が段蔵を襲った。
気配を察知したのか今の今まで寝息を立てていた虎千代が目を覚ました。
「段蔵さん。着いたの?」
「ああ」
暗澹とした空気の対流に気圧され、前進できない。
段蔵は体を前傾させて重い足を出して、祠の奥へ足を進めた。
先ほどまで寝息を立てていた虎千代が段蔵の耳元で
「降ろして」
と、それまでの雰囲気を一変させて言った。
「大丈夫か?」
段蔵は憂慮しながら虎千代を背から降ろした。
虎千代はすくと立ち、段蔵の前を歩き始めた。




