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第七十九話
二人は直ぐに目的の祠を目指し洞穴を後にした。
段蔵の体は嘘のように軽かった。
虎千代は生気を吸われたかのように重い足取りで段蔵の後をついて行った。
段蔵は過呼吸気味に付いてくる虎千代を見かね、膝を地に付けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、どうしたの段蔵さん?」
息を切らした虎千代が段蔵の背に問いかけた。
「乗れ」
段蔵はそう言って躊躇する虎千代を半ば無理矢理に背に乗せると目的地である黒姫山山頂を目指した。
一刻ほど山を登ると目的の洞窟が見えてきた。
「あそこだな」
段蔵は虎千代をおぶって急峻な山を登ってきたにも拘らず息一つ乱れていない。
虎千代は段蔵の背の温もりを感じながら浅い眠りに落ちていた。




