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第七十話
「段蔵さん!」
虎千代は悲壮な声を上げ、涙を浮かべながら段蔵に縋りついた。
段蔵は何こともなかったように目に刺さった手裏剣を顔面から抜き捨てた。
棒手裏剣の先には段蔵の眼球が突き刺さっていた。
大きく跳躍した虚無僧の一人が硫黄の煙を背に上空から段蔵に襲いかかった。
虎千代の頬を伝う涙が赤く染まった。
「よくも段蔵さんを」
虎千代の目がつり上がり、突風が虎千代の小袖と直綴裳を吹き上げた。
赤く濁った眼で空を舞う虚無僧を虎千代が睨みつけると、虚無僧の腹が裂け臓腑が宙に弾けた。
虎千代が他の虚無僧たちに視線を移す。
ギリリ、ギシ、ギシ、バギ、バギ、バギ
虚無僧たちの骨が鳴り、肋骨や鎖骨が皮を突き破って飛び出す。
「ぎゃーー」
虚無僧たちの絶叫が延々と続く稜線を這った。
「やめろ!虎千代!駄目だ!」
段蔵は叫びながら虎千代の頭を抱きかかえた。




