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第六十九話
虎千代は走って段蔵に駆け寄った。
「どうして、戻ってきた!」
足元の覚束ない段蔵が息を切らせながら虎千代に恫喝した。
「だって段蔵さん。ふらふらじゃないか。このままじゃ、やられちゃうよ!」
虎千代は虎御前からもらった鞘にひょっとこの蒔絵が施された懐刀を手にして叫んだ。
「こいつらは、風魔だ。俺を殺しに来たんだ。お前は関係ない!」
「だけど」
「いいから!言うことを聞け!」
段蔵が分からず屋の虎千代に怒号を浴びせていると、虚無僧の一人が投げた棒手裏剣が段蔵の左目に突き刺さった。




