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第六十二話
「また降ってきた!凄い、凄いよ段蔵さん!僕にもやらせて」
「お前にはできないよ」
段蔵がジト目で虎千代を見た。
ボッと虎千代の負けじ魂に火がついた。
段蔵の見よう見まねで、水面に何度も手を突っこんで岩魚を追った。しかし、岩魚は虎千代をあざ笑うかのように、ひらりとすり抜けていった。
「この、この、この」
やけくそ気味に水面を叩く虎千代。
陽が消えうせ満天の星が頭上に花咲く。
焚火を囲んで段蔵が捕った岩魚を虎千代は満足げにかぶりついた。結局自分では一匹も捕まえることができなかった。




