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第五十八話
巨石は他の石の上に乗っていて丁度洞穴の様になっていた。
「寝れそうだ」
段蔵はそう言って岩から顔を出した。
虎千代が岩下に顔だけ潜らせると、人二人は優に寝れるほどの空間があった。
虎千代は巨石から顔を出して
「それにしても」
と言いながら段蔵の顔を見た。
「何だ」
と、段蔵が訝しい表情を浮かべると、虎千代はその場でへたり込んだ。
段蔵は咄嗟に腕を差し伸べて虎千代を抱きかかえた。
虎千代はぼそりと力無く「お腹空いた」と呟いた。
段蔵は抱えた腕をすぐさま抜いて、虎千代を石が敷き詰められた川縁に落とした。




