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第五十五話
「わ~!何だこれ、コラ離れろ、この、この」
虎千代は腕を大きく上下に振って山伏の腕を振り解こうとするが、虎千代の手からなかなか腕が離れない。
「もう、離れろって言ってるだろ!」
虎千代が山伏の腕と戯れていると段蔵が虎千代の腕を掴んで山伏の腕を引き離した。
ふっ~と虎千代が安堵していると「怪我はないか」 段蔵が尻餅をついたままたたずむ虎千代に手を差し伸べた。
「うん。僕は大丈夫」
段蔵の手を握ると、べとりした血の感触が虎千代に伝わった。
虎千代が顔を上げて段蔵を見ると、段蔵は全身に返り血を浴びて肌が真紅に染まっていた。
「段蔵さんは?」
虎千代が心配そうな顔を浮かべると
「どうもない、怖くなかったか?」
段蔵が膝をついて血塗れの顔を虎千代に向けた。




