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第五話
男の目が赤光する。男は背にかけた刃長五尺は有る長剣を電光石火で居抜き、一太刀で三人の黒装束を切り倒した。
白銀の街道が赤く染まり、斬られた一人が街道脇の急峻な崖を声も立てず、もんどりをうって滑落していった。
他の黒装束達は仲間が切られたにも拘らず、身じろぎひとつ見せず、男に斬りかかった。
血の息吹を感じない冷淡な太刀が一手、また一手と振り下ろされる。
男は、襲いかかる追跡者をわずか四手で全て切り捨てた。
「た・す・け・てくれ」
僅かに息の残っていた黒装束の男が、口から血を流して命乞いをしている。
弱々しく手が伸び、返り血で染まった男の袴を鷲掴んだ。
男はにやりと不敵な笑みを零して、追跡者の背中に切っ先を突きたてた。
男は息一つ上げず、血で彩られた紅白の街道を、何こともなかったかのように後にした。




