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第四話
ギギ、ギギギーー
棺桶を開ける鈍い音と共に、月明かりが俺の眼を刺した。眩しい。
「生きてるか?」
重く低い、ひどく懐かしい声が微かに聞こえた。数年ぶり浴びる地上の風が肉の無い俺の頬を殴打した。
箱根山中。
吹雪が舞い、積雪で街道が埋もれている。
凍てつく凶暴な冷気が、三度笠を深々とかぶった旅姿の男に吹きすさぶ。
突然、十数人の黒装束を纏った集団が山肌を飛ぶようにして現れた。
男を取り囲んだ追跡者たちは、全身から湯気を立て、殺意を露わにしていた。
一拍於いて、黒装束たちはそれぞれに手にした短剣の諸刃を剥いて、猛然と男に襲いかかった。




