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第三十話
「そこで、御前様にお願いが御座います。飛騨に虎千代を行かせ、鬼斬り丸をとってこさせようと思います。ついては、護衛のものを虎千代に付けて頂きとうございます。山賊の類いまたは、隣国から姫君を守るために」
光育はそこまで話して一旦言葉を打ち切り、一拍おいて重い口調で話し始めた。
「それと、虎千代殿にこれ以上無駄な血を流させたくない。血が血を誘い道中で羅刹になりかねない、その時は護衛のものに」
「虎千代を殺せと!」
虎御前が声を裏返して、光育の先の言葉を続けた。
光育が頷くと虎御前は目頭に熱を込めて声を震わせた。
「光育様は虎千代と共に行っては、頂けないのでしょうか」
虎御前が尋ねると、光育は力なく小首を振った。




