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第二十六話
女人禁制の寺や霊山には男でないと入れない、と表向きはされていたが女人が男装さえすれば「女人にあらず」と認められ、何人も入山している記録が残されている。
光育はそのこと実を見知っていたのだった。
「心配いりませんよ」
抱擁に満ちた光育の声で、虎御前は張り詰めていた心気が途端に緩み、その場にへたり込んだ。
為景は先勝占いや家臣の裏切りがないか等、ことある毎に光育のもとに足しげく通っていた。
……光育の口添えが有ればもしや。
虎御前の心中に一筋の希望が指すのだった。
ほどなくして、虎千代は男の子として林泉寺に入門した。




