23/388
第二十三話
ふ~。虎御前の話を聞き終えた光育は、深く長い溜息をついた。
虎御前は光育の顔を縋るように見つめている。
光育は顔を上げ、瞳を大きく見開いた。
「話は分かりました。だが、はたして人の力でそんなことが出来得るのか?まやかしや物の怪の類いでも、それだけの力は御座いませぬな」
「では、何なのでございましょう?」
虎御前は必死の形相で膝を乗り出した。
「神」光育は重厚な口調で言った。
「神?」虎御前は目を見開いて訊き返した。
「そう、あなた様のお子は、神そのものかもしれません。力の使いようによっては神にも鬼にも成り得る。長きに渡って繰り返されてきた、戦が無くなる世が来るのやも知れません。その為の神の降臨なのでしょう。だが、一歩間違えば夜叉、悪鬼羅刹となることでしょう。越後だけでなく、日の本の民は地獄の業火に焼かれ、悶え苦しむことになるでしょう」
光育の話を聞いていた虎御前の生唾を呑む音が大きく響いた。




