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第十七話
幽閉先で虎御前は「何故、どうして」と呪文のように繰り返し、日々泣いて過ごした。
虎千代はそんな母の姿に心を痛めていた。
「ととさまが悪いの?」
無垢な目を向ける幼い娘を虎御前は強く抱きしめた。
「ととさまが悪いんじゃない。悪いのは、不幸な死を願った私の心。神罰が下ったのよ」
虎御前は側女達に抱いた嫉妬の焔が神に届いたのだと心底思っていた。幽閉は願いを叶えてもらった対価だと。
「神様が悪いの?」
虎千代が虎御前の顔を覗き込んで訊いた。
「そうねぇ。神様の思し召しかもしれないね」
虎御前はぎこちなく微笑んで、虎千代の頭を優しく撫でた。




