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第百六十四話
「豊姫はたった一人の理解者。私たち姉妹は一心同体だった。しかし、豊姫が私を裏切った。あの子は、私の愛する人を寝取ったのだ。愛しい景虎。本当は、私が産むはずだった!豊姫が為景の側室に姉もなどと、余計な憐れみをかけたお蔭で、この十数年、針のむしろだったわ!全てあの子が持っていく。あの子は、美麗で、明るく、人に愛され、望まれた。賛美を受けるのはいつも豊姫だった。一方、醜女で陰気な私は、親からも周りからも、眉を顰められ、なじられ、忌み嫌われた。それだけなく、あろうことか、豊姫は景虎までも、私から取り上げたのだ。憎い。憎い。憎い」
目を吊り上げる穣姫が、懐刀をスラリと抜いた。




