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第百五十八話
定実は美少年で高名だった景虎を嘗め回すように視姦し、舌なめずり、にやけた顔を景虎に向けた。
黒田秀忠の処分について景虎が「穏便に」と、懇願すると、定実は目を細めて
「そちの好きなように致すがよい」
粘りつく気色の悪い視線と声を表に出して、薄ら笑いを浮かべる。
景虎は栃尾城への帰り道、背中に悪寒を走らせるのだった。
「どうでしたか?」
供侍に扮して景虎を待っていた段蔵が、馬を並走させて訊いた。
「秀忠殿の咎は反故にして頂いた」
景虎は何故か苦々しくいい、定実の城門が見えなくなると、やっと緊張がほぐれたのか、
「それにしてもあのオヤジ、気味悪り~」
と、顔と口調を崩して首筋を掻いた。




