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第百五十二話
「こいつは私がこの手で、仕留める」
景虎は愛馬を乗り捨て、地に足を付けた。
秀忠も転げ落ちるようにして、景虎に続いた。
「鉛玉の餌食にするには惜しいってか。虎千代も甘いな」
大木の枝に立ち、傍観していた段蔵がやれやれと言う風に零した。
「来い!秀忠!」
景虎がぎゅっと力を込めて短剣を握りしめた。
秀忠は段蔵が放った毒が全身に回り出し、立つのもやっとと言う風だった。
「虎千代如きにこの俺が地に膝を付くというのか。こなくそ!」
秀忠は折れ掛けた膝を両手で抑え込んだ。




