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第百四十八話
「ちっ!」
心の臓を狙っていた秀忠は舌を打って、頭上で槍を回して、三手目の動作に入った。
景虎は秀忠と距離を取る為、放生月毛を走らせた。
「逃がすか!」
秀忠の怒号が飛び、三手目の槍が放たれた。
槍先は景虎の脇腹をかすめた。逃げる景虎を秀忠が執拗に追う。
「鬼斬り丸!どう言うことだ!この戦、私に義が無いと申すか!兄を殺されておるのだぞ!」
景虎は逃惑いながら鞘に納めた鬼斬り丸に声を震わせて叫んだが、鬼斬り丸は押し黙ったままだった。
「くそ!」
景虎は鬼斬り丸をバンと叩いて、脇差を抜いた。




