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第百四十六話
放生月毛は合点承知!と言わんばかりに漆黒の瞳を輝かせ、青く澄んだ大空目掛けて飛越した。
頭上を飛び越された黒田兵はこぞって呆気にとられ、首を捻って背を走り去る景虎の姿を茫然と眺めるばかりだった。
景虎の目に秀忠の姿が映った。
秀忠は馬上で槍を大仰に振り回して、猛然と景虎に突進してきている。
「秀忠!」
景虎は奥歯を鳴らし、怨嗟を露わにした声を漏らした。
「景虎!貴様如き餓鬼にくれてやる首は持ち合わせておらぬは!景保、景房同様死ぬがいい!」
秀忠は馬を飛翔させ、日輪を背に景虎に襲い掛かった。




