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第百四十二話
段蔵がその気になったのを確かめると、すぐに前方に視線を移し、手綱をギュッと強く握り直して、「頼んだよ。段蔵さん」と、祈るように呟いた。
「伝令!長尾景虎一騎掛けで黒滝城に猛進中、景虎の後方より直江神五郎の軍勢約2千!」
秀忠は甲冑姿で伝令の言葉を聞いていた。
「思ったより、早かったではないか。景虎、殿」
秀忠は嘲笑するように景虎の名を零した。
「一騎掛けに対して一騎打ちで臨むが礼儀かと」
「分かっておるわ!虎千代如きクソガキに俺様が臆するとでも思ってか!」
秀忠は手にしていた盃を家臣に投げつけ、太刀を手にしてすくと立ち上がった。




