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第百二十八話
「だけど、僕は母上の子ですよね」
不安げな表情を浮かべる景虎。
「勿論ですよ」
虎御前は両手で力一杯景虎を抱きしめた。
「母上の匂いだ」
景虎は虎御前の胸に顔を埋める。景虎の胸中にぽう(・・)と光が燈り、柔らかな熱を帯びて広がり始めた。
「暖かい」
景虎は憑き物が取れたように、穏やかな顔をしていた。
子犬が景虎に歩み寄り、ぺろぺろと景虎の顔を舐めた。
「守護に雷獣まで使わせるとは、毘沙門天様も親馬鹿よのう」
まったく、と言う風に、光育は小さくかぶりを振るのだった。




