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第百二十七話
「だけど、人と神の間に子が生まれるのですか?光育様!」
光育に詰め寄る景虎の肩に、虎御前がふわりと手を掛けた。
「私はこの身をお貸ししただけ。吉祥天様と毘沙門天様のお子が、私のお腹 に宿っただけのことなの」
「僕は……神の子なのですか……」
虚空を見上げて景虎が零した。
「毘沙門天は善悪の両面神。吉祥天しかり、母を人の子を喰らう鬼子母神に持ち、父は視毒で見るものを死に至らしめる、タクシャカ竜王である。今は天に帰しているが、善神悪神の両面がお前には備わっている。闇に心奪われれば、悪鬼となりて、現世を地獄と化することとなろう。善神と化するならば、乱世は鎮まり、日の本は景虎様の加護により、戦の無い平和な世の中となり得るでしょう」
光育は景虎に手を合わせて、頭を下げた。




