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第百二十六話
涙を零す虎御前に景虎が視線をやると、御前も吉祥天同様に頷いて答えるのだった。
景虎と虎御前を包んでいた光が弱まり、消失した。
「そんな、そんなことって……」
全身の力が抜ける。だらりとうな垂れ、倒れ込む景虎の体躯を光育がガシリと受け止めた。
「毘沙門天は、四天王の中でも最強と言われておる。しかし、天界一の悪童。万の邪鬼を引き連れて、非道の限りを尽くしていたのもこと実。タクシャカ竜王と鬼子母神の反対を受けた吉祥天は、天界ではどうすることも出来なかったのじゃよ」
「現世に生れ落ちた吉祥天様を追いかけて、毘沙門天様が私の元に現れたという訳なのです」
「そして、母上は僕を身ごもった」
虎御前がゆるりと首を立てに振った。




