124/388
第百二十四話
虎御前は気を失って、その場に倒れ込んだ。
その夜、
「そなたの、肉体を貸して頂けないだろうか?」
吉祥天から理由を聞かされた虎御前は、元来の信心深さからか、静かに頷いて了承した。
それは、奇しくも、為景から求婚を迫られていた時だった。吉祥天は虎御前の枕元に立ち、意識に語りかけた。
御前は、しばしば前世の自分に体を貸与した。
貸与している間の記憶は、虎御前には無かった。
ほどなくして、景虎が生まれた。景虎は父であろう男神の優しく力強い腕に抱かれ、健やかに眠っていた。吉祥天は傍らで、優しく微笑んでいる。そこで、映像は途切れた。




