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第百二十話
臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前
渾身の力を込めて光育は早九字を切った。
「効かぬわ!!!」羅刹の様に目を吊り上がらせる景虎は、大きくかぶりを振って足を一歩踏み出した。
次の瞬間、峻烈な光が光育から放たれた。早九字の文字が刻み込まれた玉が宙に浮かび、景虎を取り囲む。
「何だこれは?これは?鬼斬り丸の洞窟で見た、止めろ、来るな!止めろ、止めろ!」
脇差を闇雲に振り、おろおろとしている景虎の姿は、まるで死期が近づいた病人が、死神を追い払っているようにも見える。
景虎を囲む玉の輪が狭まり、景虎の体が締め付けられていく。




