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第百一話
虎御前は奥の間に引きこもり、葬儀にはほとんど顔を出さなかった。
為景の死因は自殺だった。自身の刀で首を一文字に掻っ捌いたと、虎千代は家臣に訊かされた。
為景が死去して四十九日の法要も待たない間に、家中は分裂の危機に瀕していた。戦べた、外交べたの晴景を当主として仰ぐことを不服とする勢力と、晴景を当主に立て、と息巻く家臣との間に亀裂が生じていた。
為景の葬儀で見せた虎千代の勇壮振りが反晴景勢力に高く評価され、兄の景康、景房を押しのける形で、末弟の虎千代が反晴景勢力に担がれた。




