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008

引き金を引くのになんの躊躇いや淀みのない様子からは殺しがその女にとってこれまで幾度となく繰り返した単純作業であることを感じさせる。

その女と目が合った瞬間だった。曲がりなりにも殺し屋の傀にとってあまりにも死に近いその音が聴こえた時には胸の辺りが熱くなり、鈍い痛みを抱えていた。

覆ることはないと分かりながらも祈るように痛みの元である自分の胸を見るが、しかしそれは無駄な祈りだった。元々あの女の腕は疑いようがない上に、これまで殺してきた側である傀からすれば今まさに体内から燦々と血が湧き出ている箇所は心臓の上であることは明らかであった。仮に傀が発砲した立場であれば着弾を確認したらそのまま相手の死を待たずに踵を返すほどの致命傷。しかし女は傷口を抑えながらも死を受け入れられずにいる傀から決して目を離さなかった。

足元に大きな血溜まりを作りながらそれに比例するように傀の意識は急激な速さで薄くなっていく。既に生死について考えるような思考力もない傀が見たのは走馬灯などではなかった。傀を発砲した女が現れたときとはまた違う、最初からずっとそこに居たかのようにその女児はにこやかな笑顔で両手を後ろにまわし立っていた。夢なのか現実なのかも曖昧な存在感のその女児は傀からすれば見慣れない、ともすれば可愛らしい服を身にまとっていた。

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