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ゴブリン2

 振り下ろされる棍棒を後ろに下がって躱す。棍棒が地面を叩き、ゴブリンの動きが止まった隙をついて、魔力で強化した蹴りを顔面に入れる。ゴブリンが仰向けに倒れる。


「おっと」


 再び後ろに下がる。さっきまで立っていた場所に棍棒が振り下ろされる。また蹴り倒そうとしたが、別の方向から棍棒が振るわれたので、躱すのに専念する。空振って態勢を崩したゴブリンを、思い切り蹴りつけて倒す。


「ふー」


 呼吸を整えつつ、残り一匹となったゴブリンに意識を集中させる。棍棒を躱し、その隙に蹴りを入れて倒した。


「あー緊張したー」


 倒したゴブリンが魔石になったのを見て、やっと胸をなでおろす。


 食事のあと、村か街を発見するために道を進んでいたのだが、またゴブリンが現れたのだ。それも3匹。いやーあせった。

 ゴブリン程度楽勝だぜ! って思ってたけど複数で来られるのは困るよね。もう少し戦い方も考えておかないと。


 魔石を回収しながら考える。


「さっきの戦闘で思ったのが、ゴブリンの一撃に俺が耐えられるかどうかなんだよな」


 ゴブリンの一撃は見た感じそんなに強そうじゃない。棍棒もただの棒よりか形整ってるが、それだけだ。腕力も振るわれる速度からして大したことがなさそうだ。それでも、棒で叩かれるってのは痛いだろうし、どのくらいのダメージがあるのかわからない。魔力で強化した腕ならダメージはないのか。その辺の確認をしたい。


「でも、万が一骨が折れたりしたら大変だしな」


 これが問題なのだ。痛みがあるだけならいいが、すぐには治らない、あるいは、どこかで治療してもらう必要があるほどダメージを受けることを考えると、攻撃を受けることができない。大丈夫そう、で行動すると万が一があったときに困るのだ。決して攻撃されるのが痛そうで嫌だというわけではない。やはり万一に備えることが必要だろう。


「しばらくは攻撃を受けない前提でいこう」


 そうすると、複数のゴブリンが出るときは、逃げることも選択に入れておくべきだな。


「……よし、5匹以上の時は逃げよう」


 しばらく考えてそう決めた。これでいざというときも素早く行動できるな。


「しかしもう夕方みたいな天気になってきたな。今日はそろそろ休もうかな」


 さすがに暗い森を移動するのは危険だろう。今日はここで野営である。野営って初めてするな。日本ではキャンプもしたことがないし。そう思いながらレストランの能力を使って店の中へ入る。え? いやこれも立派な野営ですよ。ただちょっと別空間に引きこもって安全を確保するだけです。


 牛丼を作って食べたときは気づかなかった発見があった。休憩室を見てみると、制服に着替えたときに脱いだスーツが置いてあった。なぜか新品同様になっている。そして、制服は俺が一着使用中にも関わらず補充されている。制服は、ラムネが補充されていたのと同じだと考えていいだろう。つまり、備品も持ち出し自由で、次に能力を使ったときは補充されていると。あとはスーツか。


「俺のスーツも、このファミレスの備品扱いされて、新しく創造されたってとこか?」


 たぶん間違いないだろう。これでスーツもクリーニングに出さずに済むな。この世界にクリーニングがあるかはわからないけれど。


「さて、メシを作るか。……もう夕方だから、夕食だな」


 ……俺が日本で倒れたのは深夜だから、牛丼が昼食だとすると朝食を食い損ねてるな。まあ別にいいけど。日本では朝は菓子パンとかを適当に食べてただけだし、これからはきちんと3食たべることでよしとしよう。


「よし、夕食は、……唐揚げ定食にしよう」


 さっそく作っていくぜ! まずは鶏肉だな。冷蔵庫から鶏肉を取り出す。こちらに、すでに下味がついていて、さらに片栗粉までついている鶏肉があります。さっそく揚げていきましょう。朝食を食べ損ねたようなので、10個揚げましょう。

 こちらの業務用フライヤーを使います。唐揚げなら一気に100個くらい揚げられそうな大きさのフライヤーです。油の温度は、何度だったかな? 175度くらい? です。たぶん。まあ適温になっているので、10個をトングでつかみながら投入する。投入したら、揚げている間にサラダを作りましょう。

 器を取り出し、カットされている野菜を盛り付ける。盛り付けが終わったら、ドレッシングを振りかけてサラダの完成です。今日は和風ドレッシングにしました。ここまでで約1分。まだ揚げ終わらないですね。……先にサラダを食べてしまいましょう。客席でサラダを食べ終えて、キッチンに戻り、鶏肉をフライヤーから取り出す。ここでしっかりと油を切りましょう。油を切ることで、カラッと仕上がります。

 油を切っているうちに、ご飯をよそって味噌汁や漬物を準備します。唐揚げを器に盛り付け、完成です。今回の調理時間は約5分です。……なんとなく3分でできる料理番組をイメージして作ってみた。

 ところで、唐揚げと竜田揚げの違いって何だろうね? ……まあそんなことはどうでもいいか。客席に料理を運び、食べる。


「うまい。やはり俺」


 今回は味付けとか一切してないだろうって? こまかいことはいいじゃないか。


 食後にドリンクバーのコーラを飲みながら、風呂をどうするか考える。


「液体せっけんがあるし、水道からお湯が出るから、それをかけながら立って洗うか? ……そういえばホースがどこかにあったな。それがあればお湯をかけやすくなる。シャワーでもあればもっと手軽に……シャワーある!」


 うっかりしていた。食器を洗うところにシャワーヘッド付いてたわ。いや、シャワーだけじゃないな。

 コーラを飲み干し、食器を洗う場所へ行く。もう使わないと思って忘れていたが、そこには食器の汚れを浮かせるために、お湯を張って洗剤と一緒に付け込んでおく大きめのシンクがあった。


「足は伸ばせそうにないけど、新品だ。これより小さい浴槽のあるホテルに泊まったこともあるし大丈夫そうだ」


 シンクに栓をし、お湯を張る。その間に服を脱ぐ。そこでようやく下着の替えがないことに気づく。まあしょうがないととりあえず先に下着を液体せっけんで洗う。


「服を洗うのは食器用洗剤より液体せっけんの方がいいよな?」


 どっちがいいんだろうな? 正解が分からん。とりあえず液体せっけんでしばらく洗ってみよう。洗い終わったらしっかりと搾り、ハンガーに引っ掛けて乾燥させておく。明日には乾いてるといいな。

 

 次は自分の体だ。今度は食器用洗剤は選択肢に入っていない。液体せっけん一択だ。シャワーで髪を濡らし、液体せっけんで洗う。


「かなりキシキシするかもしれんが、シャンプーは無いししょうがない」


 お湯だけで洗った方がよかったか? いや、一日二日ならともかく、ずっとお湯だけでは汚れが落ちないかもしれん。髪が痛むのを考慮して、一日ずつせっけんとお湯だけで洗うのを交互にやっていこう。髪を洗い終えたら身体を洗っていく。身体も洗い終わり、ついに入浴だ。シンクだということを気にしないようにして入浴する。


「あ~」


 入ってみると普通に風呂だなこれ。考えてみればステンレス風呂とか入ったことあるわ俺。あ~癒される~。やっぱ風呂って大事だよな。風呂の能力をくれた神様に感謝を。いや、別に風呂の能力をくれたわけではないか。それでもありがとう。


 風呂から出てリフレッシュした俺は、体を拭いた後、着れる下着がないことを思い出し、誰もいないし別に全裸でいいかな? と思ってそのまま全裸で眠りについた。客席のソファーで。

 風邪をひいていました。皆さんもお気を付けください。

 それとご家庭で揚げ物をするときは、鍋から離れないでください。

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