表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

2.光の女神

読んでいただいて有難うございます。




【……起きなさい……】



【起きるが良い……人の子よ……】




 うぅ~ん……誰かが呼んでいる……

お母さん?……まだ眠いよ……

「お母さん、あと五分寝かして……って……あれ?」


 大学生になって、一人暮らしをしていたんだ。そうでなくても……見限られた私が、母に起こされるわけ無い。

何かがおかしい……そう思って私は横になったまま辺りを見回した。


「ここ……どこ?」



【起きましたか?人の子よ】



 今度は頭のすぐそばで声が聞こえた。私は慌てて身体を起こそうとして、危く叫びそうになった……

足元に星が……天体写真の様に星雲とか惑星がある……



「な、なに……何が、どうなって……」



【落ち着きなさい……人の子よ】



 私は声の聞こえてきた方角……頭上に目を向けて、周囲を覗った。

声は聞こえるのに、その姿は見る事が出来ない……お、オバケ?



【……オバケでも、幽霊でもありません。落ち着いて話しを聞きなさい】



凛とした声が空間に響いた……



【姿が見えないと不安ですか……これならどうです?】



 私の考えている事がわかったのだろうか……

気が付けばすぐ目の前に、光り輝く美しい女性が現れた。

それは、正に……


「め……女神様……」


思わずこぼれた言葉に、目の前の女性はニッコリと微笑んだ。



【如何にも、我は光の女神リュミエール……】



「光の……女神様……」


何て神々しくて、美しいのだろう……美の女神様と言われても、納得してしまうだろう。

あれ?でも、女神様が現れたって事は……私ってば、もしかして死んで……



【その通りです、人の子よ……貴方は……貴方の身体は、生命(いのち)を維持する事が、出来無くなっていました……】


 

 私、死んじゃったんだ……え?でも待って、触った感触あったよね……何で……私って、今どうなってるの?身体は?



【貴方の身体は……生命機能を維持する事が出来無くなったので、新たに造り替えました】



「造り替えたって……ど、どういうことなんですか?私は……」



【貴方が死ぬ前に、縞々の……生き物を助けましたね】



縞々の生き物……?あの猫の事だろうか?



【あの生き物は、猫では無いのですが、まぁ、それは後にして……】



猫じゃない?じゃあ、あれは何だったの?虎の子?



【これからいう事を、よく聞くのです。良いですか?人の子よ……】





 ******

 





 私が女神様と話していた場所は、世界の狭間と言われている空間だった……


元の世界での私は、あの火事で死んでしまって……死ぬ前に、猫だと思っていた生き物を助けた事で、女神様が私を生き返らせてくれた。


 私が猫だと思って助けた縞々の生き物……それは、女神様の大切な聖獣の子供だった……

親子で移動中に、聖獣の子供だけが世界の狭間から落ちて、あの場所に閉じ込められていた。


自らの意思で聖獣の子を助け、それが原因で死んでしまった私を憐れんだ女神様が、創世した世界に私を転移させることにしたのだ……


 元の世界で死んでしまった私の体は、女神様に造り替えられ、元の世界では生きていけなくなってしまった……

両親にも、妹にも……二度と会う事は出来ない……

 

 大学生になった私は、初めての一人暮らしで、自由気ままに過ごしていた……

五月の連休の時に、実家に顔を出せば良かったな……

お父さん、お母さん……親不孝な娘で御免なさい……

私の物を借りても返さない三歳下の妹……

私のもの何でも使っていいよ、全部あげる……お父さん、お母さんを頼むね……




 光の女神リュミエール様の世界、アルシオーネは魔法が存在する世界だった…… 

女神様の管理する世界で、私は一人で生きていくことになる……知る人が誰一人いない世界で、私一人でも生きて行けるように、女神様が加護と、望む能力ちから……ギフトを授けてくれた。


 


私が異世界転移するにあたって、女神様から授けられた(ギフト)の能力は、主に五つ……


・ 翻訳能力……あらゆる言語を理解、話せる能力。

もしかしたら動物とも話せるかも?


・ 鑑定能力……見た物・手に触れた物が何か識別できる。


・ 作成能力……材料が有れば、大抵のものは作れる。兵器は不可。


・ 検索能力……私が日本で見ていた物に対して、記憶の底から呼びだす能力。

覚えていなくても、目にしていた物……料理やお菓子のレシピ、植物の栽培方法、物作りに必要な知識が、目の前に浮かぶらしい……


・ 治癒能力……怪我を治す能力。どの程度使えるかは、私の頑張り次第との事。



う~ん……五つもチートな能力を貰ったら、もしかして俺tueeeができるかも……?

そう思ってはみたけど、戦闘系のチートは無いから勇者には成れそうにない……無理ですね。

翻訳能力は、基本だよねぇ。言葉が通じない世界で生きていける気はしないもんね……



 最期に女神様が、異世界転移するのに、似たような状況下での転移になるから、死なないけど……死なせないけど、注意してね~と軽く言われた。

私が何か言うより早く、女神様に、じゃぁ~がんばってねぇ~と、

手を振られた。



「ちょ……ちょっと待ってぇええ……」



目の前が一瞬ブラックアウトした……。




 私が異世界転移して、出現した場所は、燃え始めた木造の、建物の中でした……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ