格闘大会に推薦!? 1回戦決着までの話
ラウンド 1 第3節
三日間の内に準備万端で試合当日、闘争心が高まり続けるそばにマギーがいるが、気にせず心からの叫びを口に出した(叫び声)
試合会場の話だが、二つある。リオが会場で緊張感を張りつめていれば勝ち組観客はヤジも飛ばせない。この格闘王を決定する大会に参加可能なのはたった八名。リオは大会参加はインチキまがいな推薦と噂されているので観客から疑惑の視線を受けている。ファーディを悪者扱いする記者がいる新聞社は当然リオを中傷する記事を書いていた。
リオは嫌な気分を味わうものの、貧民ならわかる差別を受けて育ってきたので人の悪意には慣れきっている(慣れたくなかったが自然と気にしない様に) リオは相手が誰だろうと勝つ気でいた。反対コートでパーラの応援が鳴り響いている。彼は初出場シードだったりと扱いの差は大きい。今の王、メッレン程の上位ランク者になっているようであった。
パーラが次世代のメッレンと呼ばれていて、世界ランク十位以内に入りそうなことに悔しさを覚える。リオは雑念を振り払って自分の対戦に集中力を注いで待つ。自分は槍使いで万能ファイター(得意距離はリングの四分の一程)だとわかっていた。相手のデカブツ(名前忘れた)の中傷言動は無視する。椅子がミシミシいっているのでデカブツは転べ!
リオは装備品の確認をしている時にお守りを忘れたと気づき、動揺した。マギーがリオの心の支えを預かって観客席で応援してくれていると信じて彼を探そうとしたが観客の敵意を知りたくないので諦める。
代わりにお守りへ必勝の祈りを捧げる。
「早くしな! 試合の合図も出せねえ」
「失礼しました。すぐ行きます」
リオは非礼を詫びてコートにあがる。一撃必殺狙いの相手に受けて立つ的な距離感を取ってなめた態度だと思わせた。リオは試合開始の合図まで気を落ち着かせた。
試合のルールは一ラウンド十五分で×四ラウンドが最高である。反則は急所への攻撃のみ。リオはデカブツが殺す気で(いうまでもない反則だが観客から英雄の称号をもらうであろう)巨体を生かした体当たりをしてくると予想した。 リオは人生で味わった恐怖の方がでかいと今の恐怖心を消す。それから相手を倒す理想的な方法を考えついた。
ラウンド1 第4節
試合開始! それと同時にリオは槍を旋回させる。デカブツはリオを侮りすぎていた。シールドで防御するには遅すぎる。遠心力を得た槍は相手の脇腹に食い込んで肋骨に達しそうな勢いだった。もうデカブツの動きは止まっている。
槍を手元に戻して構え直す。気合を入れなおしてデカブツに追撃しようとした。しかし接近の気配はない。このデカブツだって世界ランク上位者なはずである。そう簡単に終わると考えられなかった。警戒しつつも静かに相手を観察してみると予想以上の致命傷である。
「勝負あった!」
審判員が試合を止めると、大会専門医と係員が担架を持って駆け寄ってきた。デカブツが四人の大人に運ばれていって医者に激励されたが、リオは実感が湧かない。リオはデカブツが倒れた場所に穴やヒビが入っているので試合コート弁償金を請求されるんじゃないかと怖くなった。恐怖心から逃走しかける。
だが、審判に呼び止められたので叱られる覚悟をしたが、審判にも改めて激励された。
「爽快感を万人に与える試合だった」
リオはそれって嫌味かと勘ぐってしまう。
「君もパトリ・オープンにふさわしいと今の試合で納得しただろう。ファーディ以来のデビュー戦のインパクト大な試合だったぞ」
リオはあたふたして、コート破損のお詫びをしてしまっていた。審判が優しく安心させてくれる。
「大会参加費で保険に入っていることになっている。選手は何も心配しなくていいんだ」
自分の慌てっぷりに恥ずかしくなった。恥を感じるのなら現実だと思う。
「リオ!」
一人の観客がリオの名前を呼ぶと、彼の耳に賞賛の嵐が聞こえてくる。
「リオ、感動をありがとう」
「十秒にも満たなかったぞ」
「何か装備品をくれ」