大会決勝戦 その後 3
翌日
宿屋でパン食中心の朝食をいただいている異世界組(1階の食堂で注文。部屋へのお持ち帰りも可能。当然食堂に複数の席あり)は、そこで宿屋の主人に10時30分前後にこの
場で待機と伝言を受けたと聞く。彼らはあと2時間以上あるなと戻る準備を始めたり一眠りしたりした。
間もなく予定の時間。宿屋(宿泊所)にリオやメリア達もやって来た。
「皆さんと今後会えないかもしれませんし、色々とお礼などをしたくて」
「お見送りさせてもらおうと思ってね。バトメットさん達ならそろそろ来ると聞いたよ」
しんみりしたムードになりそうだ。しかし、その前にバトメット達が自動ドアが開いた先に到着済み。
「えっと、睦月様にユウト様一行、フリッツ様ご一行の三組ですね。確かにチェックアウト承りました」
宿泊所内にいた彼らとリオ達はバトメット達に連れられて大会会場の横にある施設へ。そこには謎の機材があった。
「何度もホログラムで別世界に移動可能か調整に調整を重ねた。皆さんを元の世界に帰すのは問題ないと自信をもって宣言するわ」
格闘大会の機材トラブルはフラナのプライドを傷つけた出来事だったのだろう。そんな出来事がなくとも万が一が起きない様にするのは当然とはいえ。
「誰からでも良いんだけど、そうね。睦月さんからお願いするわ。自分の戻りたい場所を思い浮かべて」
睦月が言われた通り、自分の生まれ育った世界を浮かべ始めた。どういう国か、自分の部屋はどんな感じだったか、大事な人の顔を思い浮かべたりする。海の街 図書館 シャルロット ラリアと弥生? 栗色のツインテールが目印な好意を持つ少女。
睦月が思い浮かべた結果 見慣れた景色が特殊機材で作られた空間に映し出された。海堂町の図書館、自宅(PCと寝床、家具などがある部屋)と続いて。どちらかといえば人と関わり
が深かったのは図書館。そちらに意識を集中させた。図書館の館内よりは敷地内の中庭。中庭にある大きな木、そしてベンチ。そこに睦月の身を案じている人物の気持ちを感じて。
「どうやら自分がいるべき世界で良く覚えている建物。または良く知っている人物を考えれば空間移動出来そうね」
ここにいる全員に一礼してそのワープ空間に入ろうと思う睦月。かと思ったら、ユウトに改めて健闘を称える様に握手を求められた。
「試合、良い勝負が出来ましたね。ではお元気で」
握手に応じる睦月。次に謎の男の衣装でやって来たマギーから話しかけられる。
「多くを語らない性格に何となくシンパシーを感じちゃってね。また会える日が100%ないとは思えない、別れは言わないよ」
まず二度と会う事はないだろう。しかし、彼(睦月)がこの世界に来たのは事実。その逆があっても何の不思議もないのでは?
「皆さんお世話になりました。それでは」ここでお別れですね」
少し迷いながらもワープ空間に足を踏み入れる睦月。最後は背中を見せたまま、彼が住む元の世界に戻っていった。
◇ ◇
海堂町図書館 中庭
「一体睦月さんはどこに行ったのかしら? 心配だなぁ。早く帰って来て」
ベンチに座って彼の無事を願っていたのは弥生という少女。彼女が願いを口に出した所――――
足の一部(ひざ枕に使いそうな部分)に謎の重みを感じた。驚いてそこを見ると好きな人が体を預けていて!?
(睦月さん!? どこから? でも疲れてそうだし……)
彼女がびっくりしすぎて口をパクパクさせているのと同様、睦月も何でこんな状況になったのかと心臓バクバクだ。
(ワープ装置で戻って来れたけど……、どうしてこうなった。え~い、こうなれば本当に仮眠しちゃおう)
彼女は睦月が安心した様にすやすや眠っているみたいなのでそれが伝染したのか弥生もうとうとうたた寝状態。それから時は流れ――
「睦月さん、お帰りなさい」
「ただいま」
◇
仮眠する所まで海堂町を見守るメリア達やユウトなど。
「どうやら無事に自分のいる世界に帰れたみたいね。あの状況になった理由はわからないけど。ユウトさんやフリッツさん達は少し安心出来たんじゃないかしらね」
次はどちらが先に帰るのかとまず立候補求めた所、ユウト達が前に出るアピールをしたので意思確認する。
「次は2人組のあなた方でいいのかしらね。準備が整ったら声をかけて?」
フラナにそう言われたユウト達だが、すでに準備済みだ。その旨を伝えた。
「さっき睦月さんがやった通りの行動をしてね。戻りたい場所や会いたい人を思い浮かべて」
村で出会った少女の事(後に仲間になる女の子)、吸血鬼、アリバックとかいう迷惑なやつ、自分の友達(同年代の少年)、思い浮かんだキャラクター達の住む世界全体を頭の中に
思い浮かべる。
その結果
ユウト達の見慣れた景色が目前に広がり始めた。その空間だけならそこに入れば帰れたという事になったのだが。他にも2箇所は空間が出て来た謎。そこから何か気になるものを感じて?
「ユウちゃん、早く来なさい。先に行くわよ」
「虫の知らせ的な何かを感じて。様子を見たらすぐに行くから」
マリ姉の入った空間じゃない方を調べようと思ってのぞくと、どうしてもこの空間に入らなければいけない気がした。そこにいる奴を迎えに行けよ可愛い少女達もいるしという声が
聞こえたと思ったら見覚えのある少年が飛び出して来てどこかへ走り去っていった。
(あいつは確か八つ橋ショウタ? どこ行くんだ)
まるで目的を忘れたかの様にメリア達の方へ。戸惑うメリア達だが、彼がうっとりしている様子なので悪い気はしない。
「ユウトさんのお知り合いみたいですが、早く戻ってちょうだい。空間が閉じそうだからね」
事実を言われたショウタは空間の割れ目に注目。徐々に空間が閉じ出しているのを見て急いで戻った。
来週に最終回掲載。
読者様ありがとうございます、最後までお読み頂けますとありがたいなって感涙しそう。
コラボ協力に感謝^^
不揃いな勇者たち としよしさん
http://ncode.syosetu.com/n5011bl/
夕凪(来進)さん
http://ncode.syosetu.com/n3410bl/ If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~
http://ncode.syosetu.com/n9647dm/ イフストを修正(改稿)掲載している作品
星原ルナさん
http://ncode.syosetu.com/n1583w/ 弥生と夢石
http://ncode.syosetu.com/n6409w/ 弥生ともう一つの世界
ビタミンAさん
https://mypage.syosetu.com/248983/ お借りしたキャラクターの作品は検索除外されている(または削除)されているそうですが、魅力的な作品を書いている作者さんです。




