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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
85/88

パトリオープン決勝戦 4~ その後 1

 だが立っていたのはリオではなくメリア。何が起こったのか?


 女性としての魅力にリオが隙を見せた(わずかに動きを止めた)だけど、そんな事はなかったかの様な常軌を逸した速度で間合いを詰められる。


 このままレイピアを風に乗せてもカウンターでしずめられると理解するのが一秒。


 それならリオの長槍を受け流すと決め、行動するまでに一秒。


 神楽の舞いの要領で回避だけに動きを集中するのに一秒。


 その二秒後にリオの長槍が肩をかすめたが我慢。リオの首付近(頚椎)に突き刺す反撃。

リオの精神的負荷レッドゾーン。舞台で立っていても関係ない。これ以上の戦闘は不可能という事だ。

「2人とも死力を尽くした様で素晴らしい試合であった。では勝者よこちらへ」

 観客達に勝ち名乗りしてもらおうとマジックスがメリアの手を引いた。しかし、立つ事は出来ず脱力して座り込む。

「むうっ。疲れで眠りに落ちかけておるか。これではパフォーマンスは無理だな……ではリオよ総括でもどうだろう?」

 リオは軽く苦笑。それでもこの対戦に不満を覚えている観客達に説明する。


 改めてルール確認

先程のメリアの一撃は耐えられたのではないか?

<それはない>

 メリアのラスト一突きは完全に首を取るという意志(意思?)がこもっていた。リオはそれで死の恐怖を感じたのである。その精神的負荷や想像不可能だろう。

「俺だって立ってはいられますが激しい試合を続けるのは難しいですよ」

 その間に回復したメリアが立ってから口を開こうとした。

「無理に立たなくて良い。そのまま言いたい事を伝えてくれ」

 マジックスから許可をもらったので座ったままリオと視線を合わせる。

「リオ教官! 結果的には私の勝利みたいですが途中から自分の行動を覚えていないんです。今度は今日の超集中モードを操れる位に成長してみせますから」

 しばらくざわめいているだけだった観客達。だがメリアの声を聞いた事で会場中が震える程の大歓声が上がり出した。それもそのはず、大半の人が予想出来ない結末になったから。

メリアへの祝福の言葉が終わらない、ある程度経過して観客達の興奮が収まって来た所でバトメットが立ちあがった。


「勝者には我への挑戦権を与えたかったが連戦出来そうにないか?」

 人類最高峰の格闘王と勝負可能なら勝てはしなくても何かを得れそうだとは思う。しかし、メリアは疲れ果てた状態。申し訳ないが辞退を申し出る。

「それは残念。ならばリオ、手合わせしてもらえんか?」

 まだまだやろうと思えば戦う余力は残っているリオ。だが優勝者のみの権利はもらえないと断った。

「わがままは許してもらえんか、しょうがあるまい。後で側近達に付き合ってもらうかな」

 セグやマジックス、スリントックなどはまた戦闘稽古で動けなくなるまで消耗させられるのかと諦めの境地。本当ならファーディやリオも巻き込みたいがパトリオープン出場者だった

から休養が必要だし許してあげるかとフラナ達は思っていた。

「観客の皆様、観戦お疲れさまでした。しばらくスタジアム内は開放しております。お店もご利用可能ですよ。上手くばらけて帰宅してくれる様、お願いする」

 大規模イベントに遊び(参加した)人ならわかると思うが、あまりに多くの人々が同じ場所に殺到すると混雑で大変な目に合う(同じ場所ー例えば出入り口や駅、娯楽施設など)


パトリオープンはいろんな配慮がなされている。出入り口が20以上あり(更にどの出入り口からでも駅側、バス側、市街地側のいずれかに行ける)格闘大会を街中で盛り上げているのでそっちへ行く人も多そう。


 所変わって関係者席付近。この場にいる参加者が集められた。

「……正確には異世界からの方々……これからについて伝えたい。明日は……優勝パレードがあるのでこの世界を堪能していって欲しい……2日または3日後に連絡する。連絡場所は……こちら側で用意した宿泊所だ」

 スリントックに連絡事項を伝えられた異世界組(フリッツ一行、ユウト達、睦月)は淡々と受け入れたり仕方ないといった感じが多数。さて3組がそれぞれどうしたのか?


「じきに私達の世界に戻れるのですね。皆様は明日どうなさいます? せっかくなのでパレード見学も良いかと思いますが」

 まずはフリッツ一行。ティアラの提案にまずはラクトスが応じる。

「こういうイベント時って大体相場より高くなってんだよな。余計なものを買わないようについていってやる」

 2人が見学決定。だがルーウィンは「パス」らしい。

「あたしはパス。良い寝具みたいだし、明日はゴロゴロして過ごすわ。あっ、フリッツ! 美味しそうな食べ物があったら持ってきなさいよ」


 どうやらフリッツは見学が決定事項の様だ。彼の意思なんて関係なし。ルーウインが本当にだらだらした一日を過ごしたいみたいだと感じたフリッツはティアラに「僕も」と言いにいく。

「僕もパレードについていって良いかな?」

「もちろんです」

 ラクトスはそんなフリッツに同情していた。

「お前も大変だよな、あいつのわがままに付き合わされるんだから」

 そんなこんなで話がまとまったので部屋に戻り、休むだけだ。運営側に用意してもらった宿泊所は3階建て。部屋は1階ごとに10部屋ずつ、30部屋はある。ここに案内された3組はどこを使うか相談を始める。

「あたし達は3階の大きめな部屋(特別客専用?)を使いたいけどそこの2組はどうすんの!?」

 結構失礼な物言いだが、彼らは気にしている様子はない。まずユウトと彼の付き添いのお姉さん(マリ姉)が2階の景色が良い良部屋を選択。最後に睦月が1階中央付近の部屋にした。そして一番スリントックに近かった睦月が鍵を受け取りに行く。

「……良い部屋は競合する事もと思ったが……まさかの階も別々……2組位は3階とかあり得ると考えたが……いや、まったく問題ないがね……」

 それぞれの部屋鍵を渡すスリントック。複数いるグループは代表者が、睦月も鍵を預かって好きな部屋へ。そしてゆっくりと就寝。


 翌日

朝からパレード騒ぎなので、その喧噪けんそうが宿屋から届く。それを騒音と捉えるか賑やかと捉えるかは人それぞれだろう。パレードに出かける面々は宿屋が用意してくれた朝食を頂いてから出発。パレードより休養を優先した人達の分はもちろん別にある。

「じゃあねあんた達、あたしはすぐに部屋に戻って一眠りするから」

ルーウィンの見送りはあっさりしたもの。フリッツ達はわかっているので内心苦笑しつつ「いってきます」のあいさつ。彼女が部屋に戻ろうとした所で廊下ですれちがった睦月の肩に軽くぶつかった。

「悪かったわね」

「いえ、こちらこそぶつかりそうなのに気づかなかったので」

 ルーウィンは3階へ。睦月は1階の使用させてもらっている部屋へ向かう。

 更新お待たせいたしました。コラボ協力頂いているユーザーさん方の都合とかもあります。残り数話(書いてみないと後何話になるか不明) どうぞお付き合い下さい。



コラボ協力に感謝^^


不揃いな勇者たち としよしさん

http://ncode.syosetu.com/n5011bl/



夕凪(来進)さん


http://ncode.syosetu.com/n3410bl/ If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~



http://ncode.syosetu.com/n9647dm/ イフストを修正(改稿)掲載している作品




星原ルナさん


http://ncode.syosetu.com/n1583w/ 弥生と夢石


http://ncode.syosetu.com/n6409w/ 弥生ともう一つの世界

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