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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
84/88

パトリオープン決勝戦 3

 体力と忍耐力が試されている。リオの槍技は終わる気配なし、3分なのか5分なのか

耐えに耐えたが疲労の影響で脱力してしまった。


「そこ!」

 リオの槍突きが一閃したかの様に見えた瞬間、彼らの戦いを妨害する感じに斧が飛んで来た。

「少々試合中断を願おう。コルトさん、どういう事かな?」

 メリアの敗北危機を救った形になったのはコルトのおかげ。もちろん反則負け案件だから決勝戦をそんな終わらせ方するのも……そう考えてリオにどうするか問いかける。

「リオ、試合の勝ちを求めるか?」

「いいえ。応援が白熱しすぎた結果だと思います」

「わかった! ではリオにはセコンドにマギー。メリアにコルトをつけよう」

 まだ試合を楽しめると観客達は彼らの決断に好意的だ。リオとメリアも仕切り直しで相手の動きから先手をうかがっている様だった。


「リオ、受け取れ」

 マギーが投げよこしたのはハルバート。三つの武器が一つになった特殊武器(斧、槍、カギ爪)である。あの武器にレイピアじゃ不利とコルトが大きめの鎌を渡す。巻き込む形で鎌をハルバートに引っ掛けて武器の特性を奪った。

「決めるのが早すぎかもしれない。でも今回はハルバートの真価を発揮出来なさそうかと判断。よしっ、これ以上は武器交換はやめよう。メインの長槍でいく」

 メリアの現武器(大鎌)と長槍の相性は悪くない。リオの様々な長槍の攻撃はさばいていた。さばくより凄いのは結構回避している事。瞬発力がかなりのものなだけじゃなくて恐ろしいまでのバランス感覚で身かわしの安定性も群を抜いている様に見える。

「今の君はソリッドファイターみたいだね。ここまで粘られるとは思っていなかった。では超必殺といこうか」


 生徒なメリアの実力を評価したリオが槍を回し始める。意味もなく回しているはずがない、かなりの回転数で薙ぎをするかと思えばそうでもなさそうだ。更に回転数を上げるという荒技。まるでドリルの様な高速回転した長槍で突きを放った結果、メリアは回避しきれない。金属の鎧を貫通されて胸の近くの布服も破れた(あくまで感覚だけとはいえ)

恥ずかしい気持ちより鎧破壊がショックなメリア。乳が見えそうとかどうでもいい状態になった。そう、準決勝の時に見せた超集中モード発動。相手を倒すという一点集中が思考の大半を支配するのである。

(ここは刺突で来るかな? おっと、すごい速度だ)

 メリアの連続突きの繰り出す前動作から対処して受け流し続けるリオ。


 相手が無意識状態を自己制御して攻撃をやめない所から疲労は期待しない方が良いと判断。徐々に反撃の布石を構築しようとしていた。格闘に対する反復練習や努力の結果、人間離れしているリオは相手の限界がわかる様になっていた。もう体が持たないと力をセーブしてしまうはず。そこに必殺の一撃を叩き込むだけ。

(動きが止まらないだって!? しまった)

 意識があるまま戦っていれば体がついていかなかったと思われる。だが無意識のメリアは脳内リミッターが外れていたのだ。リオの荒技な奥義を蝶が舞い蜂が刺すという表現がしっくり来る動きで回避と反撃。メリアのレイピアがリオを捉える。今度はメリアに勝利の女神が微笑んだかに思えたが腕の振りが鈍かった。

「残念ながら予想以上に怪我の具合が思わしくないみたいだね。試合ルール上、精神的影響が強そうだ」

 メリアの精神(脳内思考)が、その力が入った突きにストップをかけたのだと思われた。


 主導権がリオに移る。超速の『永塵宝』を使用したリオだったが相手はそれを躱しきった。その回避動作、神楽の舞を再現した!? 観客の誰もが魅了されていた。リオも少しばかりそれの影響を受けているみたいで。

(さっきは自己防衛本能に止められちゃった。無駄のない攻撃をしなきゃ)

 メリアは回避して突き、追撃も回避して突きを繰り返す。でも、いつまでもそれを許してくれはしないだろう。メリアの超集中モードは火事場のクソ力の様なものなのでいつかは限界が来る、一方のリオは今までの特訓で人間離れしているから時間をかける程に有利。

「こういう真剣勝負の場だからこそ叶うならば逆転してみせてくれ。奥義を破ってみせろ!」

 

 高速回転させる槍による荒技、いくら超集中していても少しでも足が止まった瞬間に勝負がついてしまいそうだ。躱した上で可能な限りの速度を乗せた突きを何度も。しかし、どれもこれも弾かれる。リオに攻撃させないためには攻撃の手はゆるめられない、倒れるまで反撃はさせたくないと思っていた(今にすべてをかけるため、手を止めたら最後という所だ)

どれだけ突きを繰り出してきたかわからない、それでもずっとやめる気がないのは当たりさえすればダメージを与えられるとわかっているから。メリアの愚直な行動を感心しているリオも色々とペースを考えないといけないなと思うに至っていた。


(奥義はずっと続けられるものじゃない。こっちから打って出ようと考えるにしても、そう簡単にいかないな)

 リオはリオで回避優先、狙いすましてレイピアを飛ばそうと槍を引っ掛けようとしても上手くいかず。好機といえる程の展開にはならず。彼女の方はというと、突きの速度や強弱をつけられる様になっていた。決着は近いだろう、だがリオもやりにくい相手の戦法に苦労中。

(これは勝負運をかけて白黒はっきりさせるべきか)

彼は必殺技の封印を決める。それよりも基本型の方がやりづらいと判断してだ。長槍の突きと薙ぎの速度がパワーアップ、今までのトレーニングが形として現れているのだろう。超集中している彼女でもどうにかよけるのが精一杯。


「リオ教官、チャンスがない時でも作る事は可能だと教えられていましたね。今の私が気付いた結論はこうです」

 またスピードすら負けそうになっている。


・それならと今回の試合システムを全面信頼(一度システムエラーがあったからこそ細心の注意を払っているはず)


・装備している軽量鎧を外す 数キロある防具を外せば動きがより軽快に


・そんな事をしたら防具ありなら軽微なダメージもでかくなる


・そのリスクを承知の上でそんな行動を起こしたのかと一瞬躊躇ちゅうちょしてしまう


・更に試合中に破れたトレーニングウェア」から見えてしまっている胸に目がいってしまうのはどうしようもなく


 恥じらいも最後の一撃のため、なりふり構わず利用した覚悟。メリアのそれにリオは反応が遅れて?

「この大舞台の栄光のためなら全てを賭けるか。だがこの神速の槍には勝てはしない」

 リオの言葉通り、ものの数秒で形勢逆転。メリアが槍を受けてリオの優勝。この試合を見ていたすべての観客達にそう写った。



 そろそろ最後のまとめに入ります。コラボ協力して頂いた方々にまたお願いしに行きますか(多分2ヶ月後とかになりそう?)

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