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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
80/88

パトリオープン 準決勝2戦目 1

             ◇              ◇


 スイッチ1つ、放送するのはいつでもいいという時間になったので司会者(進行役)が放送で2人の選手を呼び出す。

「ユウトさん、メリアさん試合会場までお越し下さい。万全にして来て下さいね」

 きっと万全にしろという話は心構えであの時ああしていれば的な後ろ向きな気持ちをなるべく持たない様に出来ればいいという所だろう。

「今日は一人か~。この方が普通っちゃ普通だけどコルトと一緒だった時間が長かったとわかるよ」

誰かに聞かせるつもりはない言葉。メリアはそれを自分なりの気持ち整理だと思う。集中して戦いに挑もうとするメリア。ちょっとした心細さは試合について考える事で気にならなく なった。

 対戦相手もこれから試合コートに行こうと会場に向かって歩いている最中だ。


「ユウちゃん、試合前も試合中も相手の性別を考えちゃダメよ?」

黒石ユウト。彼は敵がどんな状態でも少女など『女性』に手を出せない少年。女性は守る者などと躾られてきたのかもしれないし、何かのきっかけでそういう性格になったのかも!?

ユウトは勝負を避け続けようと思いはする。だけど、相手に攻撃され続けていれば防衛本能は働いてしまうだろう。彼はそれをしたくない。

「ステージがどうなるとか条件があるけど、戦意喪失を狙った戦い方をしよう」

 彼は彼で自分にだけ聞こえる様な小声で自分の行動を考えていた。

そして2人は試合前に目が合ったので一礼。メリアは相手の戦闘スタイルの情報不足を補うため様子見から始めようと考え、一方のユウトは女性と戦うのは望まないけどこういう展開だから割り切るしかない等と考え中。

「お互い試合が出来る状態になっている様だな。装置を起動してもらうか」

 セグがフラナにサインを送る。すぐフラナによってシミュレーション装置のスイッチが押された。


             ステージ変更


  場所  Aコート全体  変更箇所  天候が台風になる


 立っているのもやっとな突風、障害物とかもたまに飛んで来る迷惑さを感じる。水に濡れる不快感とかもあるし、2人のどちらかが先制攻撃を仕掛けるかと観客達に思われているだろうが動きがない。

(相手の人も攻撃に消極的なのか~、ならば遠距離用武器で動きにクセがないか見てみようかな)

 武器をレイピアからチャクラムに変更。逆風だと自分に返って来ちゃうのでそうならない様に気をつけてから投げる。チャクラムとは光る刃が特徴的な円形武器、中央に指を入れて回しながら投げる。それを2回行った(チャクラムを2つ持っていたという事)

 突風の追い風に乗って勢い良く飛んでくる円月輪チャクラムをまず慌てふためきながらも回避し、2投目もまだ軌道線上にいたので剣の鎬筋にぶつけて回転威力を殺した。ユウト は飛び道具で攻撃された驚きに気づかれないため、慣性の法則がどうだとか角運動量保存則等といった小難しい事を考えて平静を保とうとする。


「彼女、遠距離からの戦法も持っているのか。円月輪だけだとすれば戦い方を変えてくるだろうな」

 メリアは遠距離武器に円月輪を選んだ事を少し後悔中。相手の近くに拾いに行くなんてまず考えるまでもない。どうしたものかと迷っている内に車が動く位の突風に吹き飛ばされた。

アクシデントで近距離に向かってくるメリア。ユウトは体の向きを変えて横から彼女のみぞおちに剣の柄を叩き込む。


「うっ…………」

 苦しそうな相手の声にユウトは攻撃したくなかったのにという表情を浮かべ、距離を取る。ユウトはこの大会のシステムを脳内で再確認中。確か剣で斬っても血とかは出ない、だけど皮や骨を斬った感触を感じてしまう。それだけでユウトの心を苛むのは十分だ、女の子を攻撃して傷つけたという事実だけで。斬っていないのに? という疑問はあると思う。その時は彼の記憶から女の子を斬って血を視認したという状況がフラッシュバックして来たという理由がある。ユウトの心は人より繊細な部分があり、脆いともいえた。

 立ち尽くし、無力感に体を支配されたユウトは突風に抗う気力なし。飛んできたビニール傘や、スチール缶に木の枝などがぶつかって来るのが痛いなと思う程度。先程のメリア同様、ユウトも突風に体を浮かされたがどこかに飛ばされたとしてもという、まるで自分は突風に飛ばされる訳ないという心境になっていた(実際はユウトの体も風に運ばれているが)

 ユウトも期せずしてメリアの所に吹き飛ばされていた。その後はする気のなかったハプニングのオマケ付き。防具越しとはいえ、メリアの胸をもんでしまう。

「!?!?!?!?!?!? きゃああ!!」

 ユウトがした事はわざとじゃなかったため、すぐにはされた行動が認識出来なかった様だ。しかし、布越しとかよりマシというのがあろうと触られたのは事実。持っていたレイピアでユウトを攻撃した。「ご……ごめっ。うわ~~っ!!」

 メリアの反射的な突きに対処が追いつかなかったが当たったのは鎧。倒すという狙いがなさそうな点はマシだが、なかなか反撃に転じられず。彼ユウトは今、行うべき策はこれだと足払いをかけようとした。


(本気で転ばせるつもりで。転倒時に強く頭を打ってくれる事を願おう)

 防御中心の戦法を取っていたユウトは、メリアの刺突が数回繰り出された後に攻撃がやむ時があるのをつかんでいた。再度刺突しようとする段階で踏み込むその瞬間が転倒させやすい だろうと考えた結果である。

メリアの動きから転ばせる瞬間を見極めてひっかけようとする。躱かわされる想像なんてなかったがまるで宙を浮いているかのごとき動きで回避された。


「間合いをつめられた、だけど攻撃に乱れが有るから問題はないが……」

 レイピアを受け流しの要領で切っ先をずらしたり、避ける事は造作もないが自分からは仕掛けに移れない。迷いが生じている内にメリアがチャクラムを拾ってしまった。それから距離を取られたのでまた遠距離攻撃に気をつけないと、と身構えたが一向に飛び道具(円月輪)が飛んでこない(円月輪を持ってさえいないみたいだ、何が狙いなんだかな!?)

メリアが台風発生中の風を利用して何度も何度もユウトに近接戦を挑もうとして来る。しかし彼にはその気持ちがなかった。すべてを躱し、受け流し、とにかく攻撃しようとしない。

メリアはそれが気に入らなかった。

「これならどう!?」

 さっきまでの動きが一変してスピード重視のメリア。ユウトはあまりの違いに回避が追いつかなくなっていった。



 コラボ協力 感謝してもしきれない。


夕凪(来進)さん


http://ncode.syosetu.com/n3410bl/ If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~



http://ncode.syosetu.com/n9647dm/ イフストを修正(改稿)掲載している作品


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