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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
リオの試合の行方・もう一人の主要人物?
8/88

格闘大会に推薦!? 大会に出るまでの話

 予約掲載で17時に掲載されるようにしてみました

 良い知らせがないので数日後、学園内で貴重な平等派のゾン教官に話を聞いた。理事長がリオには国際経験がないとの理由で納得させようとしてくる。事務的にゾン教官が語るのは理事長決定に本心では不信感を感じているから。 そもそもリオに国際経験がないのはBMSが理不尽な理由で世界的大会出場停止にしているからだ。 国内大会にはいくらでも出場しているし、何度も優勝しているが経験のうちに入らない=国際大会出場不可という図式だ(国内大会には価値なんてないという考えなのだろう)



 リオの世界ランクは五百一位である。国内ランキングでも九十一位という微妙な位置であり、無意味で正しいとは思えないランキングである。一方パーラの世界ランクは二十三位である。国際大会に参加させてもらっているからだ。パーラだってデビューは同時期のはず。彼とは経験の差が出るチャンスの多さしか違いはない。そう考えるのはおかしいだろうか? リオは必死に訴えた。物わかりの良いフリなんてまっぴらだ。

「みんな、悪口を言ってきます。パーラの練習台だって。でも僕は一度も彼に負けていません。違いますか?」

 ゾン教官はリオの想いを理解してはあげられる。しかし、歯がゆいことにBMSの一教官にすぎない自分では何をしてあげられなかった。

「パトリ・オープンだけはどうしてもっ! ファーデイ先パイもこの大会にデビューしたからって? あなたの実力はわかる。でもね……」


  彼女は渋面で辛そうにリオから目をそらす。

「理事長は名家か資産家の子どもからしか選ぶ気がないとでも?」

「それは……。否定できないわ。ごめんなさい」

 ゾン教官は自分の無力さにうなだれながら教員室に戻っていった。リオはがっかり肩を落として帰路に向かう。

「あれっ、貧民街の子よ。おぉ、恐い!」

 いつもは無視している勝ち組婦人の嫌味もリオの心をむしばむ。リオは家で夕食の際も元気がないのをお母さんイ見咎みとがめられて嫌嫌その事を伝えた。僕のお母さんが「昔からね」とつぶやくと化石のような目になる。食卓のお父さんも化石目見たくなっていた。リオは勝ち組のやり口等に耐え切れず肩を震わせて涙を流す。そんな時、お母さんがお手製のハニーミルクを手渡してくれた。


「リオ、熱いミルク。激しい運動をしたら糖分を取らないとね。ハチミツ多めにしたよ」

「ありがとう。僕、やり直してみるよ」

「BMSをやめたら? リオなら他の武術スクールで認められるはずだから」

 他の武術スクール入学=転校にしても契約金がかかる。奨学金制度が同じだという保証もない。 両親に迷惑をかける気はなかった。

「大丈夫さ。いつか報われる日が来ると信じているし」

 リオはやる気を取り戻して張り切る。


「必勝のお守り効果も続いているよ。スクールでパーラの練習台にだってなってやる」

 リオはBMSに通い続け、それ以外の時間は手伝いで貯金をためるか、マギーと息抜きする毎日であった。半年後、パーラが大会参加権を得る。この日、リオの運命を変える奇跡が起きた。参加者の一人がケガしたため推薦されたのだ。しかもファーディに!


空席があるのは気に入らないという理由らしいが覚えてくれていたのに感謝し、このチャンスを正式手続きでBMSに報告した。運営委員会には逆らえないのか投げやりな態度で了承を得る。リオとしてはざまあみろといってやりたい気分である。親友とだけささやかに推薦されたことで騒いだ。


 そんな過去を黙って聞いていたマギーはリオと一緒に悲しみの共有で受け入れてくれた。

「お前の力を見せ付けて皆を黙らそうぜ」

「うん。ハングリー精神なら誰にも負けない。優勝は僕のものだよ、約束する」

 リオはマギーに大きなことを言って自分を追い詰めるのであった。



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