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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
78/88

パトリオープン 準決勝 2

 開けた途端、何やら予感がしたのでドアを閉める。何かがドアに刺さった音がしたのでそーっとチェック。ドアには包丁が突き刺さっていた。確かミステリー漫画だとかゲームで覚えのある光景に開いた口が

塞がらない。


(まさか被害者側になりかけるとはね。ミステリーとかで知っておいて良かったといえるのか?)

 ドアノブに紐がつながっていて射出装置の起動スイッチが動く仕掛け。それはドアを開けた者に命中す

る罠なのだろう。この状況でそんな事は起こり得ないを逆手に取った罠に気づけた彼は油断していなかっ

たという証拠とも取れる。せっかく発見した隠しドアは会場入り妨害の罠だったのでリオは気後れしていた。それでも調べ尽くしてどうあってもボタンを押すしかないという結果にがっかりする。

(やらなきゃわからなかった事とはいえ、自分の鼓動が無駄だったというのはいらない疲れを覚えるね)

 最初見つけたボタンで何が起きるかそれの予想をする、危険察知しておけば会場への道まで走り抜けられると思っていた。


 ボタンのおかげかコートへの道が開けた。しかし天井が落ちてくる。どうやら吊り天井の様で押し潰しの罠か!? 手で止めようとする前に全速力で走り抜けてしまえばここまで危機に陥らなかった。しかし潰されてたまるかと自然と体が動いてしまったのだ、誰がせめられようか。そんな中、通路に制限時間が表示された装置が出現。表示には<3分間耐えきれればクリア出来るだろう>とある。両手で潰されない様、耐えている内にそろそろ制限時間1分前。そこで結構な試練が機械音で聞こえてきた。


<吊り天井の圧力が3倍上昇>

 さっきまでと重力の規模が違う。そのせいでバランスを崩してしまった。まずは片手で支えていたのは50kgキログラムで良かった、踏ん張り直している内に150kgになっていたが大岩(推定350kg)を持ちあげる修行をして来たリオは修行の成果を出せて良かったと余裕を取り戻す。

「腕力で耐え続けるのも有りか。だけど吊り天井を上に戻して落下を繰り返せば数秒休めそうだからそうしよう」

 吊り天井を元の位置に戻すくらい上へ。また落下してくるという上下運動の繰り返し。そうこうしている内に制限時間まもなく残り10秒。

<吊り天井の圧力が初期重量から約10倍になります>

 50kgと450kgでは相当重力の差がある。だけどリオは辛いと思っても耐えきれないとは思わなかった。

(力を出す事だけに集中。いらない負傷に気をつけながらね)

 罠に耐え、リオはBコートに立つ。


              ◇               ◇

 一方のファーディ。

迷路からすぐにBコートへ行ける訳なかった。落とし穴が邪魔なので迷路に入り直して別の道から出口に向かうしかない。そこへ機械音で制限時間が表示される。

<制限時間10分で出口が閉まります>

 迷路が結構複雑で心理的負担が高まっていった。時間の制限で焦りも強まっていく。行き止まりに何度か引っかかっている内に出口への道がわかって来た。

「こっちの道は違う。それならここを進めば出口に近づけるな」

 出口に近づいたとわかる状況。ファーディの進路を妨害する動きに反応する3体の像と障害物のある部屋。ここを通り過ぎないと出口に行けないみたいなので障害物を上手く利用しなくてはいけない。理解した上でも試したいのは直進する事、像が目前まで近づいて来るので左右と後ろが選択肢だ。左右に動いても障害物がないので妨害されたまま。それなら後ろに一歩下がってみるしかない。この部屋の障害物の大元は壁か柱。一体目の土偶っぽい像は前と左に壁のある場所に誘導出来た。ファーディはこれならいくら前または左に動いても大丈夫だと動く場所を限定して1体目をクリア。2体目と3体目も前後左右の中で障害物にぶつかる様に動けた。壁と柱を利用した隙間を作れたのでそこを通って障害物部屋をぬける。


 これだけで終わりかと思えば甘かった様だ。会場が見えたがその大部屋に巨大で不気味な鳥像を目にする。ファーディの気配に察知したかのごとく鳥像が動いて襲いかかって来た。

<残り時間は3分間です。それまでに守護像を倒せないと戦わずして準決勝敗退となります>

 そんな負け方は冗談ではない。ファーディがまず確認したのは守護像の攻撃方法。どうやら大きく分けて3つ、鷲掴わしづかみしようとして来る・目が光ったらレーザーに注意・変則的な動きで惑わしてからの不意打ちといった所か。2つは落ち着いて回避が可能っぽい、だが変則的な動きからの奇襲には気をつけたい。

「出来るだけ早く決着をつけたいな」

 まず先手を取られてしまったファーディ。鷲掴みに対処しきれず防具にガーゴイルの爪が食い込む。そこから噛みつき攻撃に移行しようとして来たのでその前にどうにか振りほどく。

 ガーゴイルは噛みつきが邪魔された事を気にせず奇怪な鳴き声を発しつつ飛び回っていた。ファーディの方を見たかと思うと急降下して来る。知識はあっても反応の鋭いファーディが剣を一閃。しかしそこにはガーゴイルがいなかった。剣の切っ先が触れる前にバク宙の様な飛び方で回避して更にファーディのがら空きの背中をくちばしでつっついた。

「うっ…………」

 そこでガーゴイルの目が光る。撃てる範囲がどれ位かとファーディは動き回って見極めようとした。幸い先程の嘴攻撃はどうというダメージはなし、レーザー攻撃中は床に降りて来て前方視界範囲内だけという事がわかった。

「レーザー範囲は結構あるが動きが遅い! 破壊してやれそうだな」

 ガガガガガと首振りしながらレーザー発射中、一度レーザーを射った地点に戻って来るまでに間がある。ファーディはレーザー回避してから勢い良く回転をつけた大剣の斬撃で亀裂を入れた。後はそこを集中的に攻撃していくだけ。徐々にヒビ割れていく様な音が聞こえるので後わずかだろう。またレーザー範囲内に入りそうなので離れて機を待つ。大剣に力を込めて範囲外になった所で飛び出した。大振りでガーゴイル像が壊れていく感触を何度か味わう。

<残り時間30秒を切りました>

 そんな無機質な音声が聞こえて来たが気にならない。大剣の柄を握り直して渾身の一振りでガーゴイル像の停止に成功した。

『障害損傷過多、機能停止』

 ファーディは堂々と会場へと続く道に進んでいく。



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