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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
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パトリオープンベスト8 第2試合 2~ 第3試合 1

「ステージ情報をこれだけ集めれば十分! いざ、参る!!」

 ファーディのしようと考えている行動は何か。しばらく車の動きを目視して、トラックの荷台に乗れないか、乗っても耐久力は高いか等のチェックをしている様で。かと思えばステージの床でどれだけ跳ねられるかを確認している様子。謎の男も攻撃に入りたい気持ちはあるが、タイミングを失っている様だ。なので、ファーディが意外な方法を仕掛けてくるかもしれないと気を張りつめていたのだが――

「強者であっても集中力が途切れる瞬間がある。そこだ!」

 ファーディがステージの床で跳躍可能なのを利用してメイン剣の隣にあるサブ剣を投げ放った。急な攻撃に回避しきれず顔に巻いていた布が切れる。彼の相貌があらわになった。


「俺より強い事はわかっていた。でも、正体だけは隠しておきたかったな」

 覆面の謎の男だった者、それはマギーであった。ファーディはほぼ確信していたし、メリアなんかもリオ先生の親友に何か攻防が似ていると思ってはいた。正体を知って声を失う程の衝撃を感じたが。リオはそういうのにうとく、誰よりも驚いた様である。

「まったく! リオ!! お前は変装に気づかなさすぎだろ。色々と心配だ」

 そう言われた観客席のリオは自覚しているので申し訳なさそうにする位しか出来ない。マギーは正体が判明した以上、また覆面をするつもりはないみたいだ。彼に全力を出すから何かを感じ取れよと軽口を叩いた。


「マギー、君の出せるだけの全力を見せてもらうよ」

 彼らはやり取りを終わらせて再び視線をぶつけ合った。ファーディはさっきの2人が語る事で最高の勝負になると思っていたのである。それをマギーの闘志を感じ取っただけで理解した様で。

「君がしたい真剣勝負、俺は受けて立つよ。決着をつけるつもりでかかって来い!」

 マギーがファーディの挙動を見逃さない様にしながら道路の石を蹴っている。何度も何度も繰り返しているので無人の車に弾き飛ばされる事多数。タイミングを読ませない内にマギーがファーディの元へ向かおうとしていた。


(そろそろ何らかの方法でこっちに向かおうとして来そうな頃。まずは俺の防御の硬さを見せるため身構える)

 隙が見当たらないファーディの大防御からどう一矢を報いるか。マギーは普通に車道を渡ろうとする奇策を行う。ファーディがどういうつもりだと思った時には、マギーの体がはね飛ばされていた。しかし彼のそれを実行した訳、その衝撃を利用してきりもみしながらの斬撃。ファーディの防御以上の力が加わったかもしれない。


「いくら衝撃吸収する防具とはいえ、そんな策を見せてくるとはね。こっちも一定ダメージは受けたよ」

 衝撃吸収しきれない分のダメージ、やはりマギーの方が強い。ファーディはそんな彼の勇気を称えて必殺技を使用する事を決めた。マギーは立ち上がったが防御動作に移る事が出来ずにいる。

「くそっ、こんなに体に響くダメージになってしまうとは思わなかった。衝撃吸収を信用しすぎたか、誤算だよ」

「貫通刃」

 ファーディの読んで字のごとくな斬撃。剣の切っ先に力を集中する事で威力が先端に集まる。それを食らったマギーは身体ダメージから変換された精神的ダメージで気絶しかけた。

セグがもう試合続行は危険な状態と判断してファーディの勝利と告げる。しょうがないかと受け入れた様子のマギーが応援席の方へ向き直り、力を振り絞った声を発した。


「まだ、倒れる訳にはいかない。リオ~~!!」

 名前を呼ばれたリオがマギーの声が聞こえやすいだろう選手用応援席列最前列へ。声をかける。

「マギー、君の底力を見せてもらったよ」

「何を言ってんだ。こんな無様な負け方をした俺に対してよ……」

ファーディと剣を交えられただけでも超一流の証、単に強い程度だったら彼の気だけで立ち尽くしていただろうという憶測で励ました。

「ところで俺の戦い方はお前の今後に役立ちそうか?」

「もちろんさ。ファーディにつけいる点が見極められかけたのは大きな事だよ」

 駆けつけて来た救護隊員手で制して、リオが親友マギーを医務室に運ぶ。リオの受け答えに安心したマギーの受け答えに安心したマギーが気を失ったのでかつぐ形で。


「それで状態の方はどうでしたか? ドクター」

 マギーは小さな寝息を立てて眠っている。それだけで一安心出来たのだが、あれだけのダメージを受けたのだ。精神的ショックが強いのではという懸念けねんがあった。

「身体的ダメージを全部精神的ダメージに変える最新装置だ。わからない事への不安は大きいだろう。一応検査して問題もなかった。快復は睡眠で。完全回復には2日以上かかるかも

しれないね」

 ドクターの診断では決勝観戦も厳しそうだとの事。リオは準決勝のファーディ戦より先を見据えていた。


◇                ◇


 準決勝の3戦目は異世界からの来訪者同士の対決である。火(または炎)の術者の睦月とまだ力を隠し持っているかどうか定かではない実力の予想が難しいユウト。

両者とも控室で準決勝のファーディ達の試合を観ていた。そしてCコート整備後に大会進行も兼ねているフラナに試合準備完了の放送を受ける。

「ベスト8第3試合が近づいてまいりました。選手がコート内へ入場、そして審判が試合開始合図を。それもすぐでしょう」

 控え室で一息ついていた睦月は、立ち上がる事を頭の切り替えのサインにしようと入場口へと緊張感を持ちながらの移動。

一方のユウトは控え室から一度観客席の一番前。中央付近にいるお姉さん的仲間の元へ。

「ユウちゃん、私を満足させる試合を見せなさいよ」

 彼の連れの無茶振りはいつもの事である。ユウトはベストを尽くすと返答した。

「マリ姉、僕は出来る事をするだけだよ」

 

 観客席から関係者専用出入り口にリターン。それで選手入場口から再入場。ユウトは先に来ていた睦月に強気で挑みたいという気持ちの整理をするため、大声で意気込みを口にした。

「はじめまして!! あなたにもかける思いがあるかもしれません。だけど、負ける気はないです。勝ちます」

 ユウトの宣言に、睦月は目をぱちくりさせたが結局は軽く流す。

「お互い良い戦いをしようじゃないか」

 舞台の2人はもう準備完了っぽい。セグがフラナに合図を送るとシミュレーション装置を起動した。



 コラボ スペシャルサンクス!


星原ルナさん


http://ncode.syosetu.com/n1583w/ 弥生と夢石


http://ncode.syosetu.com/n6409w/ 弥生ともう一つの世界<こちらの方がコラボでお借りしているキャラクター登場回数多い>




夕凪(来進)さん


http://ncode.syosetu.com/n3410bl/ If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~



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