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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
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パトリオープンベスト8 第1試合 2

2人の様子を見ていたフラナが最新機材によるステージ選択を行った。

「どうやらフラナがステージ選択して用意完了のようだな。場所変更を感じ取ったら試合を始めてくれ」

 セグがフラナからの連絡を受けて試合の合図をした。


            ステージ変更

 場所  噴火中の火山        条件   Bコート全体


 かなりやばい光景なステージに特殊ゴーグルをかけた観客達のどよめきが止まらない。もちろんフリッツの仲間達も同様だ。

「命の危険まで覚えかねないステージ、ずいぶんと大胆なのもあったもんね!」

「危ないですね。精神的にも追いつめられやすそうな印象もあります」

「それだけじゃねえ! この大会を見ていてシミュレーションを理解した分、相当やべえだろ。火山灰が気管に入ったらというのもあるが、それよりも火山の隕石とかきつそうだ。もちろん溶岩もな。フリッツの奴、嫌な想像をしてねえだろうな」


 ラクトスの危惧が現実になってしまっているようでリアリティー強い仮想空間だと頭では理解しているのに恐怖で体がすくんでしまっている様だった。

「こんな危険ステージまで!? と恐怖に押しつぶされそうという様子だね。でも、もう試合は始まっているんだよ」

 リオのメイン武器は『槍』だが、剣の腕前も一流だ。リオがわざと吠える様な大声、更に踏み込みでも大きく音を立てた。それでフリッツは我に返る。

(しまった、これでは深手を負わされてしまいそう。何とかして反らすとか守るとかしないと)

 フリッツが気づいた時にはリオが眼前に迫ってきている。リオの一撃が防御を誘う様な一撃ではあるものの、それしか出来ない速度だ。防御と決めたが、火山灰に足を取られた。

「えっ……!?」

 それさえも狙いだったのかもしれないが、結果的にリオの斬撃が空振った。そこへ火山の隕石が降ってきたのでお互い距離を取る。

(火山灰を吸うのは危ない。息苦しくなっちゃう)

 そんなすぐに呼吸器に影響が起こる事はまずない。だが、仮想空間での思い込みは命取り。どうも息が苦しい気がして、試合に集中出来ない。


 まだ1分中の30秒を超えた程度でこの状態、観客達にはフリッツがされるがままに写っているのではないだろうか。一気呵成の攻めをすればリオの勝利で終わりそうな流れ、それなのに彼は守りの体勢に入っている。フリッツは咳き込みながらもどういうつもりなんだろうと思った。しかし、迂闊に攻撃するのは危険だと今までの戦闘経験が記憶を頼りに警鐘けいしょうを鳴らしている。

 ここで対策を練るため一時的にそれだけに意識を集中させると、ある事に気づく。どうもリオの構えが何かを伝授する様な型になっている事に。


「おっと、もう1分経ったようだ。いつもの装備になるよ」

 剣が勝手に宙へ飛んでいき、槍がリオの手元に来るかの様な動きで落ちてくる。せっかくの攻撃チャンスだったのだが、フリッツは行動が遅れて何も手足し出来なかった。まだ守りに入ったまま様子を見ているリオ。彼がどういうつもりなのかわからないが、剣と槍ならリーチの関係で攻勢に転じられるはずだとフリッツは思う。


 彼は自分の兄とかと一緒でリオにも力量差を感じて攻撃方法に迷っていた。だけど、勇気を出してリオが反撃不能なタイミングで最高の一撃をふるったはずでいた。それなのにリオは微動だにしない。防御の様子もないのを謎に思いながらも最高の一撃が決まる感触を味わえるはずだった。


 その瞬間の直前、ステージの火山噴火が激しくなった。それをリオは大地の振動などで感じ取っていたのか(!?)フリッツの剣が届く間際に噴石が来ると予想していた様な回避。リオの最高の一撃は噴石に弾かれた事になる。

「う゛っっ」

 噴石に剣が弾かれた、小さめの噴石自体は真っ二つになったものの反動で手がしびれる。フリッツにとっては大ピンチ。これはまずい状況だ。


 ダメージをとにかく減らそうと防御に入ったフリッツが(勝つ望み薄)と思っているのと裏腹にリオが仕掛けて来なかった。

「すまない。君との勝負をもう少し楽しみたかったんだ。でもここから先は真剣勝負で行くよ!」

 

 そう言ったリオが武器の特性と違う接近勝負をして来た。対処が微妙に遅れたフリッツに手数で勝負。競り合いに持ち込む。相手から剣の得意間合いに入ってきている、カウンターを狙おうと考えた。それなのにリオの一見無謀な動きを捉えきれない。これが相手リオが自分の実力を把握したうえでの最善行動なのかとフリッツは焦ってしまっている。

「そろそろ君との勝負に決着をつけよう! この技をどうにか出来るかな!?」

 リオが大きくバックステップして手首をスナップさせて槍を勢い良く投げ放った。風に乗って速度が上がっている様子だがどうやらかわせた様なのでこっちの番だと考えたフリッツ。そんな中、背筋がゾクッとして後方に剣を振った。すると剣に短槍ショートスピアが当たったのがわかる。


「運が良かったのか何なのかだけど、この技を理解出来ない限りは勝てないよ」

 リオが回避出来る時は彼の周りを飛んでいるだけのショートスピア。だが、いざフリッツが攻撃を当てようとするとショートスピアで軌道をずらされてしまう。攻撃に迷いを生じさせようとしているのだろうと予想出来るが、術中にハマってしまったのか隙がないと思わされていた。


「あのショートスピア、リオって奴の全身を防御浮遊出来るのは細い鋼線みたいね。上からだから? わかるのは」

「それならフリッツに教えてやれよ、応援の声でアドバイス的な事をしても咎められねえだろ」

 ラクトスにフリッツに教えてやれと言われたルーウィン。しかし、首を横に振る。

「いいえ、あいつが試合中に見抜かなきゃダメよ!! けど、どうも様子がおかしいわね」

 リオも技と宣言しているだけあって、ショートスピアを幾度もフリッツへぶつけていた。フリッツは剣で弾き続けていたが疲労の影響かミスしてダメージを負う。リオのショートスピアでの追撃、その時にフリッツの眼の色が変わった。

「まだまだこんなもんじゃない!!」

 今にも当たりそうなショートスピアを目に見えぬ位の斬撃で遠くまで弾き飛ばす(弾き飛ばしてもブーメランの様にリオの手元に返ってくるとはいえ)

『命を奪う覚悟と奪われる覚悟。命を奪われないためにする最大限の覚悟!! 度胸を見せる』

 雰囲気が一変したフリッツが何度か別角度からの突きをさばいていく。火山灰で滑りやすいのなんてなんのそのといった体捌き。


 リオが必殺技のタイミングを減らされたというのに楽しそうに笑った。

「ははっ、良い。良いよ! 持てる力の全てを出しきって勝利を狙ってくれ。残念ながら阻止させてもらうけどね」

 先程の一変前のフリッツ、一変後のフリッツ。大きな違いは『剣』の腕前が格段に向上した事(今、体内に眠っていた持てる力の全てを出すリミッターが外れた状態とも取れる)

それでもリオはそれより更なる高みにいるようだ。



 コラボ協力に感謝^^


不揃いな勇者たち としよしさん

http://ncode.syosetu.com/n5011bl/

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