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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
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ベスト16勝利者のそれぞれの行動 2

「フラナ殿に邪魔者が入らないよう20名の警備をつけろと言われたがいくら何でも多すぎじゃないだろうか。いくら重要書類とか機密に関わるといわれようとも」

 どうやらこの人数の多さはそういう理由からの様だ。でも警備長は人数が多すぎだ、他の地点にも割り振るべきだと考えている様子。VIPルームに人員を割かれたら目的を果たしづら くなる、マリナが即断でいくつかの問題をクリアしようと思う。

「まずいわね……。ユウちゃん、協力してちょうだい」

 そう言いながらも彼女の表情に焦りの色は見られない。淡々と彼女はユウトに作戦を伝える。そして了承より早く避難扉を確認。鍵は手で開閉可能のタイプの様だ。

「開かない!? あっ、中央だけじゃなくて上と下にも鍵があるのね」

 マリナが避難扉を開ける。一時的にユウトを空き部屋(災害備蓄倉庫代わり)に隠れてもらって避難階段で1階上へ。扉は外側も手で開閉可能タイプ。これで準備は整った、今度はユウトに演技してもらう番である。


「後はユウちゃんにかかっているわ、頼むわね」


 別に失敗して追い出されても構わないのだが、プレッシャーをかけられているユウトはやるしかないという気持ちになった。

「わ。わかったよ。やればいいんでしょ?」

 そう言ってユウトは警備員の演技をした。可能な限り大人びた声を出して騙せるかどうか。

「侵入者だー!!」

 そのユウトの声は「どうした? 新入社員」という警備長の声からして青年らしい声になっていた様だ。マリナが今いる2階で闘気を出すと警備長が慎重に行動せざるを得なくなる。

(これは! そう簡単には捕まえられない奴か? 一筋縄ではいかなそうだぞ)

「チャンスは一瞬で十分、避難扉から出るわよユウちゃん」

 この段階で警備長が現場に来た頃には誰もいなくなっていたが確定。マリナ達は避難通路先の扉を素早く開閉、物音を極力消すよう細心の注意を払ってVIPルームがある階に到着した。


 その頃、警備長と数名の警備員が先ほどまでユウトとマリナがいた現場へ。闘気が残っているからか、警備長は侵入者がまだ潜んでいるかもと警戒していた。とっくにこの場から離脱しているとも知らず。

目的地に来れたユウトとマリナ。ここまで強引な行動もあったが、用のある人物には礼儀正しくノックと態度が変化する。だが、その前にバトメットの方から声をかけられた。

「こんな夜更けに誰かな? セグとかではなさそうだが。構わない、入ってくれ」

 呼ばれたからには覚悟を決めるしかない。マリナはユウトと一緒に平静を装って入室する。

「うん? 見ない顔だな。いや待て君達は確か異世界からの人物だったね。それで何用かな?」

 まったく動じる素振りを見せないバトメットにそれだけの力が感じ取れるだけあるわとマリナは思う。彼女は招かれざる客じゃないのと問いかけてみた。


「さわがしいのはそれが原因か、どれ」

そう言ってVIPルームの高級そうな机からインカムを取り出した。警備員達を呼ぶつもりだろうか?

「警備の者達に伝える。先程の2人は私の上客である。速やかに持ち場に戻るように」

どこか釈然としない警備長達も最高責任者に伝達を受けたら従うしかない。マリナはユウトに状況を察してもらおうと芝居を打つ。

「一体何のつもり!?」

「慌てるな、ここへ君らが来た理由もわかっているつもりだ。少年はお付きで君は私に求愛しに来たのだろう?」

「私が色んな意味で好きなのはユウちゃんだけよ。この人は異常な強大さがあるけど、今のユウちゃんなら威厳に気圧されるまでいかないでしょ」

彼女へ頭に血が上る様な言葉を発するバトメット。しかし、軽くあしらってユウトを前に出した。彼はバトメットに圧倒的な覇気を外に出されて足がすくんでしまった。図らずもその姿はまるで王を守る騎士の様。

「悪かった、冗談だよ。転送装置の話だろ。責任を持つと約束しようじゃないか」

マリナはユウトが強くなって来たとはいえ、まだまだ軽く人を超越した人達には遅れを取りまくっちゃうようねと思っていた。一方のユウトは近づく事さえ困難なのかと自分の力の足りなさを呪っているのだった。

(世の中は広い。手合わせに一撃という行動前から体が拒否反応を起こした……)


     ◇           ◇          ◇

 

 格闘大会2日目、国中の騒ぎが増している気がする。パトリオープンという申請な戦いの場で勝負出来る名誉ある人達も残り8名だ。集合時間までにそれぞれが行動を起こして いた。

「世界ランクってまだつけていたんですね」

 フラナが端的に「まぁね」と応える。

「結局は参考程度でしかありませんが。俺とリオの1位2位争いは次元が違うけどな」

早朝からフラナに書庫整理を頼まれたファーディは格闘ランク表に目を通していた。早起きタイプな彼、この表には『格闘スクール所属の者なら』格闘スタイルや近中遠距離のどれが得意か等、色々と書かれているので戦いのイメージがしやすい(この格闘ランク表は格闘施設やコロシアム掲示板他で誰もが情報を得やすいのだ)

「ルーコの様な女性格闘家もベスト30に入っているんだな。数年前では考えられない」

ファーディはベスト8前に情報を得たり、感慨深そうにしているのだった。


リオはどうしているのだろうか? 余裕を持ってコロシアム控え室に行こうと馴染みのお店前を通り過ぎようとした時、声をかけられる。アメリア(愛称メーリ)が商品片手に立って いた。

「おはよう、メーリ。朝から掃除って訳じゃなさそうだね。そのアイスは役得かな?」

リオに聞かれたアメリアがそんな訳ないでしょとばかりに笑う。

「違うわよ! 仕事中にもらうのはありえないわ、休憩中に食べる時はたまにあるけど。これはあなたに。好きでしょこれ?」

 常連になっている店で注文する時に結構注文するパインアイスを渡された。

「私だけじゃなくスーヤコ《店名》の店長やスタッフからの差し入れの様なものよ。頑張って、期待してるから」

第一試合出場者は開始時間が近くなっているため、すでにコロシアムに着いていたりする。その中の一人、フリッツは準備を整えていた。実はフリッツとリオ以外のベスト8出場者は自分の出場する試合まで自由時間だったりする。


今の時点でもう来ているのはファーディにユウト、レーザー銃の女性あすかといったところだろうか。

謎な男という登録名な彼は使い慣れているマントを修繕に刺繍ししゅう店へ行っているのでベスト8第一試合の途中から観客席にやって来ると思われる。彼の出場試合が第二試合な事を考えれば自ずと予想は可能だ。

夕凪(来進)さん


http://ncode.syosetu.com/n3410bl/ If start story (イフ・スタート・ストーリー) ~ボッチな問題児は異世界で大暴れするようですよ?~


あすかさん


http://ncode.syosetu.com/n0872bi/ レーザー銃を持つ少女


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