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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
48/88

決勝T前にあったお話

「すいませんけど比奈は俺のなんで」

 彼のヘタレ具合が少しでも改善されているのかなと思いつつも彼女は素直になれない。

「誰がこたろーのなのよ! 幼なじみなだけでしょ」

 この子にも自分のファンになってほしいなと考えたブーメイが色目を使う。それから彼にわざとらしく極上の笑みを向けて身を引く素振りを見せた。

「申し訳ない。お兄さんから取る気はなんかないんですよ。ただ応援してもらいたかっただけで」

 いけ好かないやつだと思うこたろー、比奈に悪い虫がついて欲しくないので面白くない。

(あの選手、かっこ良かったなー)

 比奈がさっきの選手に見惚れているのがわかってこたろーはがっくり来た。


               ◇

 決勝Tの開始直前に別の場所で困っている父子または兄弟がいた。年上の方が三十代くらいで年下の方は高校生なので関係がわかりづらい。年下の子は肌がキレイだったりするので

ボーイッシュな女の子の可能性もあるが果たして? だがその疑問は偶然にもすぐわかった。

「僕が少し格闘大会プログラムを貰いに行っている間だけで由比さんがいなくなっているってどういう事だよ圭介」

「う~ん、私が翔太を見送った一瞬にだからなぁ。由比さんの方向音痴は筋金入りだし。どうする、翔太?」

 圭介と呼ばれている者と、翔太という少年が探している女性はどこへ行ってしまったのか。


 彼らが探している今、由比という二十歳位の女性は予想通り方向音痴のせいで迷子になってしまっていた。

「お手洗い終ったまでは良かったんだけど、圭介さん達と一緒にいたのってどっちだったかなあ」

 何か連絡手段を――とかんがえる前に動き回っている女性。困っているのもあって、関係者用通路に入り込んでしまっている事に気付いていない。普通なら警備員が止めそうなものだが、近くで興奮した観客達をなだめる手助けをしていた関係で警備員側も気付けなかったのである。

「あれ? そういえば他の観客に会ってないなんておかしいんじゃない!?」

 しばらく動きまわってからこの場所ってもしかして……と理解した女性。でも出口がわからないしと右往左往するしか出来ずにいた。

「そこの方、ここは選手控室がある場所なのですがこんな所で一体?」


 見た目はほぼ同年代の女性に警戒されないよう物腰丁寧に訊ねるリオ。リオに声をかけられた女性は状況を説明する。

「この大会を楽しみにしている男の子と男の子の保護者な人と来たんですけど道に迷っちゃって」

 かなりの方向音痴だなとリオは驚く。その後で少し手助けしましょうかと提案した。

「はぐれた場所はどこかわかります? 特徴とかでも構いませんが。僕も決勝Tの参加選手の一人なので3ヶ所教えるくらいが時間の限界ですけど」

「えっと、確か格闘プログラムを配っていた場所だったはず」

 そのヒントからリオは2ヶ所にしぼりこむ。

「ではこちらへ。会場入口付近またはメインゲートの辺りのはずです」


 リオは人に騙される事の多かった貧民出身だが、とても困っている様子の女性を見捨てたりしない。それは貧民だった頃に受けた悪い扱いを反面教師にしたからだろう。まずはメインゲートにいた格闘プログラム配布人にリオが尋ねる。

「そこの方、少し時間いいかな」

 お客さんが質問したい事でもあるのかな? と思った係員が元気よく対応しようと目を合わせた瞬間かたまった。

「どうしました、お客様。多そうな質問内容ならばこのプログラムにも参照意見があ……って。え゛っ」

 リオはこの係員を驚かせてしまったかなと思いつつも、係員に落ち着くよう深呼吸をすすめた。係員が対応出来る状態になったかを確認してから探し人の情報を求める。

「何かすまないね」

「いえ」

「僕と一緒にいた、僕と同年代くらいのあの女性が人を探しているらしいんだけど何かしらないかな?」

 女性を一目見て、緊張気味に話す係員。


「えっと……。弟さんとか妹さんなんかをお探しに?」

 女性が方向音痴だという事実は口にせず、彼女のような人を探している感じの2人組の男性がいなかったかと聞いた。

「家族に近い人達らしい。三十歳位と高校生の少年という2人組らしいよ」

 そういえばつい5分くらい前と係員には思い当たる事があったようだ。その内容は「一度見れば忘れないはずの可愛い女性を知らないか」というもの。その男2人がもしかしたら戻って来ているかもと会場入口の方へ去っていった覚えがある――そういう情報を得た。

「お世話になりっぱなしで申し訳ありません」

 恐縮している女性にリオは気にしないよう困っている様子だったから手助けしただけだと伝える。


「選手用《関係者用》の場所だって追い出すだけなんてしたらまた迷ってしまったでしょうし、力になりたいと思っただけですから」

 話しながら情報で聞いた会場入口の方へ2人で歩を進めていく。会場入口付近で格闘プログラムを配布している係員の近くで女性、由比が探し人を見つけた。

「あっ、リオさん。あの2人です探していたのは。親切にありがとうございました」

 まだ気付いていない男性2人が周囲を見渡していた。さすがに相手が視界に入っていればそちらに向かえるようだ。あさっての方向へ向かうなんて極度の方向音痴じゃなかったようである。

「由比さん」

「えっ、由比!? まったくどこへ行ってたんだよ」

 はぐれてしまっていたのは事実なので縮こまる女性。甘んじて叱責を受けてからここまで連れてきてくれた人物を紹介しようとする。


「実はこの方にっ……あれ?」

 勝手に助力しただけだし、お礼なんか求めてないという感じにリオは去っていくつもりでいる。だが、素早く少年が回り込んだ。

「せめてお礼の言葉くらい言わせてくださいよ、そこの方。えっ、あなたはまさか……」

 戦う人達は誰でも応援するつもりの翔太という少年だったが、まさかこんな所で有名な格闘家に会えるなんて思わなかったのでテンションがあがる。

「気にしなくて良いよ、じゃあね」

「待……待ってください。良かったらサインでも」

 遅れてやって来た少年の保護者、圭介という人がリオに会釈してから翔太を止める。

「こら、迷惑しているだろ。すいません」

 また迷子になってはたまらないと由比はちゃんと圭介についてきている。


「わかった。せっかく格闘大会に来てくれたんだ。サインの時間はないけど握手くらいなら」

 偶然が重なってこの3人は優勝候補のリオと握手する事に。もともとこの格闘大会に興味のあった翔太は別として、圭介と由比もリオのファンになった。


 コラボ協力に感謝^^


if start story 夕凪さん


レーザー銃 あすかさん


きっと、それは 篠宮楓さん http://ncode.syosetu.com/n1604t/


幼馴染と図書室 篠宮楓さん http://ncode.syosetu.com/n4863y/ <ただいま検索除外中らしいです>



※今回は篠宮さんの作品のキャラクターのみ登場しています

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