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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
伝統の格闘大会 教官と生徒 そして格闘を通して多くの出会い
46/88

決勝Tの組み合わせ開始

お待たせしました。

 五番目に取材を受けてくれたのは眼帯少女ルーコ。トレバトは格闘スクール通だったりするが、この少女が誰なのかわからない。訳あって変装している可能性があるので、その話題は切り上げて用意しておいた質問内容をメモで確認する。

「格闘チャンピオンになる以外で目的は!?」

 眼帯に手を当てて、まさかの中二病発言を始めるルーコ。

「くっくっくっ、我の望みし細身のレイピー使いの少女(ガール)と激戦を繰り広げることが出来ればそれ以上は望まない」

 

 回りくどいが、言いたい事は伝わってきたのでなるほどと思う。トレバトは彼女がそんな話し方をするお年ごろなんだなと納得し、もう一つの質問を訊いた。

「わが国について意見はありますか?」

「私の存在する世界が本当に恵まれているのか不明。私が不在の世界人に対する興味は尽きない」

 いろんな意味で濃いキャラクターをしているルーコの話をメモに取る。『バトル・スタッツ』の記事にする際、苦労する事になりそうだ。

 

 次に話を聞けそうなのはと周囲を見渡すと、いつの間にやら控え室からコートに移動している銃兵器をかついだクールな女性を見かける。初出場者だし、トレバトは話を聞きたいと回り込んだ。

「もう闘いの準備をする予定だったとしたら申し訳ない。ですが2、3質問に答えてもらえますか?」

「構わない」

 あくまでクールに端的な応答をした。


「感謝します。それでは格闘チャンピオンの栄誉についてどう思いますか?」

「特に何とも。私の前に立ちふさがる者を容赦しないだけ。この国に潜伏しているかもしれない不穏分子を排除しに来ただけだから」

「かなり自信ありそうですね……えっと、以上です」

 メモ帳を胸にしまったトレバトが、先程のあすかという出場者の情報が本当だったとしたら大変と焦る。


『不穏分子』とはどういう存在なのかとこれより先に取材は非公式だと伝えた上で教えてもらった。

「まさかテロリストとか爆弾魔なのですか!?」

「違う。人が多く集まるこうした大会にはマフィアが流れ込んでいる可能性が高い。薬物を取引している現場を見つけたら奴らを殲滅せんめつする」

 実は特殊部隊のエージェントの様な存在だったのかとトレバトは気づいたが、仕事の邪魔をしては悪いのでエールを送る。

「わかりました! ご武運を祈ります」


 そろそろ決勝トーナメントの組み合わせあみだくじに協力して欲しいという放送が流れる。『バトルスタッツ』の編集長トレバトは全員分の意見をもらいたかったものの、今は無理かと諦めてまだインタビューをしていない中で残り2名に絞り込んだ。

「おっ、あの後ろ姿は異国からの挑戦者さん。簡単な質問だけしようかな」

 予選を見学した中では結構万能そうな『武具使い』という印象。人は見かけによらないという言葉が彼にピッタリである。

「少しだけ良いですか? あなたがこの大会に参加した理由を教えてもらえます?」

「大会に参加する理由があるんです。制約があるんですよ」

 制約とか気になる単語を聞いたが、決勝トーナメント組み合わせ会場に行く時間が迫っていたので遠慮した。ユウトという人物はもう少し話をしてもいいのにという様子だったが仕方ない。


 トレバトがもう話を聞けていない人は全員決勝トーナメントに行ってしまったかな? ときょろきょろする。そのトレバトの視線の先に頭巾で顔を隠してマントをなびかせている者とすれちがいそうになった。決勝T進出の人物リストの名前を見ると――

「謎の人物さんとお呼びしてもよろしいんでしょうか?」

 名前の欄にそう書いてあったので確認する。謎の人物はただ首を動かして肯定の意を示した。

「それでは質問を。あなたの正体は!?」

 本当は『この国について』だけ聞いておくかと考えていたはずなのに答えるはずのない質問をしてしまった。謎の人物は少々困惑しながらも端的に答える。

「断る」

 そんなうっかりミスをしたトレバトに一礼してから謎の人物は決勝トーナメント組み合わせ会場に向かった。


         ◇        ◇        ◇

 決勝トーナメントの組み合わせくじからすでに観客席の観覧は認められている。見る見ないは観客の自由だ。トーナメントの組み合わせくじを順番に進めているのはどうやらスリントックのようである。口数は少ないが何だかこの場にしっくり来る影の実力者。さすが百人締め切りエントリーの中で勝ち進んだ16名、スリントックの力がわかるのか、こんなまだるっこしい決め方をすんなと口にだす者はいない。

「……では私が指名したものからくじを引いて数字を言ってもらおう」

 空気がピリピリしている。誰もがここにいる強敵にワクワクドキドキなど高ぶる気持ちを胸に秘めて力を推し量っているのだろう。

「エントリー用紙通りに行くか……ファーディお前からだ」

 いきなりこの『パトリオープン』ここ2~3回防衛している王者からである。自信に裏打ちされた足取りだけでも決勝T出場者達が一目置いている。

「これによると、どうやら……7番のようだ……」

 書かれたくじ番号を目で追って確認したスリントックが告げた。それを聞いたファーディが後ろに下がる。

「おっ、縁起の良い数字だな!」


「次、フリッツという者、前へ」

強者しかいない場で、ドキドキしながらも気持ちで負けないよう堂々とした歩みでくじの前に。それから番号の書かれたくじを取り出す。

「3番でした」

 どんな相手と戦う事になるのかとフリッツは期待と不安を抱えながらさっきまでいた場所に戻る。後ろにあるトーナメント表にスリントック自ら書き出した。まだまだ待機中の選手が多いのですぐ呼ぶ作業に戻った。


「次は謎の人物……か」

 どこからか風が吹いてきた影響でマントがなびいている。目を隠しているせいか、くじの対戦相手を自由に選べる超能力的なものでも使えるのでは? と思わせた(実際そんな事はない)

「5番」

 くじを受け取り書き込む。謎の人物がリオに視線を向けた。リオは視線に気づいて目を合わせたが、すぐ視線を外されたので偶然かと思う。


「次……」

 謎の人物の次の者という意味だとわかったゼロライフがくじの箱から紙を引く。


「……12番」

 禍々《まがまが》しい気配と不気味な鎌、鋭い眼光といういかにもな存在にメリアは恐怖感を覚えた。出来ればこの人に当たりたくないとも思う。


「暗器使いハイド、来い……」

 その暗器使いは一歩も動かず、隠し持っていた鎖を器用に操り巻きつけて紙を取る。くじはスリントックの机の上へ落とした。

「4番だな……最初に決まったのは第2試合か。フリッツVS暗器使いハイド……言っておくが対戦相手の決まった順に何かをする予定はないぞ」


 コラボ協力に感謝


不揃いな勇者たち としよしさん

http://ncode.syosetu.com/n5011bl/






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