歴史ある格闘大会開始までに出来ること
突然メッレン格闘スクールに来訪したのがバトメット本人だったのでメッレン理事長でさえ言葉も出ない。携帯ゲーム機型に改良されたそれを受け取るだけで精一杯だった。
「大会の検討を! ではなっ」
やる事は終えたとばかりにすぐ踵を返して去っていった。呆けていたのはどれくらいだろうか、数秒かもしれないし1分以上かもしれない。
「えっと、僕の受け持ちクラスで大会事前申請予定者含めて4人か!? この装置を貸し出せばいいんだな」
どうやらリオ先生のクラスに参加者が多いようですとメッレンに渡されたリオ。リオは先に試した『格闘会議若者代表』だ、自分は後でいいかとこの装置の使い方はわかっているので参加予定の親友と最近青い瞳の輝きがしっかりしている女の子、金髪で気の強い女生徒に渡し、操作方法を教えた。
そのシミュレーション装置で自分の弱点に対処しようとする者、弱点に目をつぶってでも長所を特化しようという者に分かれたようである。
「自分の実力に自信がなかったあの子が大会に出るとすでに事前申請したと聞いて驚いたな。彼女の潜在能力は底知れないから楽しみだったりもする」
大会の規模の大小なんて関係ない。リオはとにかく彼女に実戦を積ませようと『パトリオープン』5日前までに10回もの実戦経験にうってつけな大会エントリーを用意した。ちなみに親友に助力をしてもらった部分もあったり。
◇ ◇
格闘スクールの生徒が目指す最大の大会『パトリオープン』少し前のメリアなら絶対恥を晒すだけだと参加を考えたりしなかっただろう。ここのように夢や目標が似通った同年代の子達との集まりで身分差別されるなんて思っていなかった。だけど憧れの存在の指名で開始されたいじめっ子との勝負事、あれで経験した事、それに興奮をこれからも味わいたいと思ったのである。強敵と出会った時、メリアはどこまで戦えるかと考えたのもまた事実である。運が良ければ元貧民街なスターな先生と本気の手あわせを!
「私の考えには気付いているっぽい。先生に大会参加のハードスケジュールを用意してもらっちゃったし」
改めてパトリオープン参加だなんて大それた事をここでの実戦経験がなければ考えもしなかった。そう考えるとコルトにされたマネも無駄ではなかったのかもしれない。望む望まないで判断した場合嫌な思いに耐性がついたと無理矢理プラスに捉えるしかないと思い込むしかないわけだが。
考えをまとめ直したメリアは携帯ゲーム機型シミュレーション装置を操作してみる。広い場所でとの注意書きが説明書の表紙に記載されていたので屋上に来ていた。どうも仮想空間でリングやら土手とか競技場など場所が多く選べるようである。彼女が(そういえば……)と頭によぎった不安、このホログラムに惑わされて屋上から落ちたりしないよね? という恐怖はシミュレーションステージの端を触ってみたところ杞憂に終わった。
「良かった。しっかり対策されているのね。ここから先は進入禁止というように弾力のある壁に押し戻される仕様なのか~」
懸念は払拭されたという事で早速試してみるメリア。このシミュレーション装置でメリアは戦闘スタイルが弱点対処タイプのようだとわかる。彼女にとって一番得意なレイピアを使って苦手な大剣または斧に対抗する方法を探す、それが修行目的なのであろう。ただ、性格の真っ直ぐさが戦闘スタイルにリンクしているのか一番の愚策をしてしまっている。細身の剣で重量級の剣と斬りあった事でレイピアの刀身が折れた。致命的な行動でホログラムに斬られた所、装置の安全装置が働きブラックアウト。
「馬鹿正直につっこんじゃうのが問題なんだよね。さて、どうしよう? 苦手武器のホログラムに恐怖心を感じるくらい続けようか……でもやりすぎは逆効果になりそう」
結局メリアはしばらくシミュレーションを続ける事にする。いくらホログラムでも細身の剣を折られまくるのは精神的に来るものがあった。それでも気になる感触があったのでやめる気がしない。心体ともに疲労の色が濃くなってきたと認識して最後の1回とプレイした所何かをつかみかけた。
結局メリアはしばらくシミュレーションを続ける事にする。いくらホログラムでも細身の剣を折られまくるのは精神的に来るものがあった。それでも気になる感触があったのでやめる気がしない。心体ともに疲労の色が濃くなってきたと認識して最後の1回とプレイした所、何かをつかみかけた。
最後まで細身の剣が簡単に折られるという耐久力の弱さを体感する。だけどその軽量な所が活かされて大剣の切っ先部分を滑るような動きでチャンスをつかみかける。そん
な事が出来ると思っていなかったのでバランスを崩してしまいシミュレーションの相手に攻撃され、機械の作った人型ホログラムに一度も勝てずに終える事にした。
ピンチをチャンスに変える戦いをメリアはものにしたいと考えている。装置を使って経験をかさねていく内にあっという間、『パトリオープン』まで残り5日になっていた。彼女の
先生、リオがシミュレーション装置をバトメットの元へ返却するため受け取りにやって来る。
◇ ◇ ◇
『パトリオープン』5日前。先生であるリオと生徒という関係は大会では関係なくなる、その時は間もなくだ。参加者はリオとメリアの他に彼や彼女の友人が予想されるがそれは当日
まで内緒にしているみたいでわからない。当日にエントリー完了して始めて参加申請受理となるので。メッレン格闘スクールを始めとして、この国では後2日授業を行ったら休暇があったり。その休日は『パトリオープン』開催期間を含めると約10日間格闘スクール生徒達に体を休める目的の祝日が制定されているのだった。
残り5日間は大会参加者にとって大切な期間である。すでに参加経験のあるリオはそれを肌で感じて知っている。だからこそ参加を決めた教え子達と一緒に最終調整したいと思った。
「さて、ここからが肝心だぞ。みんな……っていっても数名だがシミュレーションだけでは意味ないと思うだろ。実戦でものにしようか」
これから大会までの心構えについてもリオが説く。
「実戦形式3日で戦術確認1日、完全休養1日がベストコンディションに持っていけるスケジュールだと思う」
経験者の意見は重いと格闘スクール生徒達も思うのでリオに従った。
もう少ししたらコラボをお願いしているユーザーさんのキャラクターを書かせてもらえるのか。
お互いが納得いく形になるようコラボ希望ユーザーさんとやりとりしよう(もう少しかかると思いますがその際はメッセで)




