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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
格闘スクール教官編
32/88

格闘大会の会議 1

 パトリオープンの開催コートの横に位置する結構大きな建物『闘技総合センター』どうやらこの建物の奥にあるVIPルームこそが会議場所のようである。まったくもって勝手がわからないのでファーディに先導してもらう。


「おはようございます。未来の審査議長をお連れしましたよ」


 ファーディがわざとらしくリオのハードルを高くするような事を言ったが、VIPビップルームには先に1人しか先に来ている人物はいなかった。


「おうっ! ファーディか。そいつが一流の槍の使い手か、どれ」


 この場で気さくに応じたのが大剣使いの者。その人物にリオは握手を求められる。


「まだまだ若輩者ですが……格闘スクールの教官になりたての田中カルテリオって言います。お見知りおきを」

「おうっ、お前がファーディが良く話をしている奴だな。俺もリオと呼ばせてもらうぞ」


 明るい性格の大剣使いに握手の際、筋肉量を丸太のような太い腕で計られたかのような言葉を告げられた。


「そうそう。俺の名前はセイルグ! 面倒ならセグと呼んでもらった構わんぞ。リオ、君はバランス良く体の筋肉が鍛えられている傾向みたいだ、良い傾向良い傾向」


 何か嬉しい気持ちを隠し切れない感じでファーディがリオにこんな事実があったんだという話を伝えられる。


「セグさんにそんなコメントをしてもらえるとはね。リオ、まだかなり潜在能力に期待してもいいんじゃないか」

「セイルグさん、重い大剣を持っているのに身軽なんですね」

「対戦するとしたら途方もない強敵だ。まっ、君と俺とかは例外なんだけどね」


 ファーディの言った"例外"が気になったが、新たに別の会議出席者がVIPルームに入ってきたので聞けずじまいになった。


「わたしがこの格闘界議長のバトメットだ。君が若者と槍使い代表のリオ君だな? とりあえずドアの近くの空席に座りたまえ」


 その格闘王バトメットと一緒に、斧使い・短剣使い・棒使いらしき人物(獲物を持っているからこそわかる)がVIPルームに現れる。

それぞれが決まった場所に着席したのを全体を見渡してバトメットが確認し、新メンバーもいるのだからと自己紹介を提案する。


「短くしても良いが、新人君に私たちの事を知ってもらうために紹介しようか」


 どうも複雑そうな表情をしていたり、苦虫をかみつぶしたかのような表情をしている人物がいるのは気のせいだろうか。すべての決定権はさっきのバトメットが握っているような気はしたが。


「俺の名前はマジックス! 攻撃力ナンバー1のぶ気を使っている自負がある」


 筋骨隆隆の豪快はおじさんという称号がしっくり来る人物からまず紹介を受けた。


「私の名前はフラナ。投げナイフの必殺的中率に自信があるわ。ところであなたは獲物を持ってきていないの?」


 そう問われてリオはそういえばと気付く。まさかファーディがリオの武器の心配までしてくれる訳無いだろうと思いつつも彼に視線を向けると、そのファーディが左手の平に右拳をポンっとした。何かを思い出したようだ。


「俺が余裕あるのに急かしたせいで武器を所持してこいって言わなかったもんな。さっきメッレンに持ってきてもらったんだった」


 いつの間にかファーディは少し席を外してメッレンと対面していたようである。何にせよありがたいことだ。長槍を投げ渡されたリオはついでに会議室の空間に余裕があったので演舞もしてみせた。


「槍さばき、どうでしたでしょうか?」

「その年でそこまでの技術を。へ~~っ、どうせお飾り程度のガキだって期待していなかったけどいいわねきみ


 短剣ナイフを手でもて遊ぶかのように回しながら、妖しく笑うフラナには大人の魅力が感じられた。宗教上の理由かどうかは不明だが顔の半分以上を布で覆っているので正確な年齢は声以外で想定できないが。


「……スリントックだ。お前の実力はこれから判断させてもらう」


 リオより年上でファーディよりは若いという外見、加えて寡黙な青年という印象をリオは持つ。という事はさっきの苦虫をかみつぶしたような表情は違う解釈をした方が良さそうだ。人見知りでこれからのリオを厳しく見てやろうという意識がスリントックの顔に表れたとでも理解するのが良いのかもしれない。


「ファーディの紹介はいらないな? ではそろそろ会議を開始しようか」


 バトメットの一声によって場の雰囲気が一変する。そして会議が始まる。会議の内容は『パトリオープンのルール変更』についてであった。


「わたしやマジックス、セグにフラナは自分に合った武器を見つけて終わりなき修練を行なっている。必要に応じて裏稼業の悪徳場や人物を滅するが。おっと、フラナはそちらがメインだったか」


 つい自分達の行なっている仕事などについて熱く語ってしまったバトメットだが、咳払いで話題変更しやすい空気にして本当に聞きたかった事を訊ねる。


「早い話が現場の2人の意見が大いなる参考になると言いたいのだよ、パトリオープンの王者と勢いのある格闘スクール教官のお2人さん」


 腕を組んであごをつき、ファーディとリオに目線を合わせて待ちの姿勢だ(バトメットは彼らと対面する座り方=配置)

リオは圧倒的な存在感のあるバトメットの気に当てられたのか口が乾いて声を発せない一時的症状になったが、ファーディもさるもの。自らの主張を臆する事なく伝えている。


「個人的意見で言わせてもらえば男女で王者を決定しなくていいかと思います。平等に一人の王者を決める大会にしましょう」


  

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