決勝戦 その後 エピローグ(編集中)
メッレンと彼の息子がいる所へ向かう。彼は嫌がるメッレンを無視して、体を寄せてしっかりと抱く。それにルーリズが不満そうに頬をふくらませて父親をにらみつけた。
「ファーディは僕のものだぞ。ずるいや」
こうしてパトリ・オープンは幕を閉じた。
結局リオは元の生活に戻る。格闘に無縁な上流階級はリオに興味を持つことはない。格闘好きの観客なら何か援助したかもしれないが、彼らは女子格闘決勝戦の観戦に忙しいので誰も気づかないし、気にしようがない。優勝して両親に家を購入してあげたかった。ふらふらあてどもなく歩いている内にリオは中立通り側の小さな公園の目の前に。そこでリオは空いていた(というか、遊ぶ子どももおらずガラーンと寂しい雰囲気だったが)ブランコに乗って自問自答し始めた。
(BMSじゃ準優勝を評価してくれないんだ。針のむしろにいるような日常には逆戻りしたくない。早く前に進みたいよ)
負けたことでリオの心はくじけかけている。
「こんな所にいたのか。探したぜ」
リオの眼前には少し息を切らせた王者が立っていた。
「ファーディさん!? どうしてこんな場所に?」
「記者会見なんかよりお前と話をするのが有益に思えてな」
ファーディに手を差し伸べられたが、リオは立たなかった。
「お前が疑問に感じてそうなことなら全て教えてやる。迷いにも道筋を与えてやるよ!」
リオは元気を失った声で、ファーディの好意を拒否した。
「そこまでしてもらうのは気がひけます」
「今の廃人気味のお前の意見は却下だ。まずは悩むくらいならBMSをやめろ! 拒絶は許さん。親に申し訳が立たないと思うなら仕事可能年齢になったら好きなだけ恩返しをしろ」
生気を失った瞳で、リオが応える。
「絶望感を味わっているな。俺がお守りをあげた時を思い出せ。何をしてでも貧民から抜け出すって言っただろ? 悔しいのなら叫べ」
「自分の手で未来をきり開くぞーーーー!!」
ファーディのおかげでリオは吹っ切れた。そして前向きに新たな挑戦に挑もうと思う。
『エピローグ』
家で朝を迎えたリオは、朝食の時間の片手間に『バトル・ニュース』を読む。三ヶ月くらい経っているがパトリ・オープン男子決勝の記事はまだあって、リオにも好意的な評価をされているので気を良くしていた。スクラップ記事に新たな記事を貼る前だったが母親に奪われる。
「傷は多少の痛みなんだろ? 学校に行きな」
負傷病欠の必要がなくなっているとばれたようだ。もう痛がる芝居は通じそうにない。
「わかった、行ってくるね」
まだBMSに籍はあった。でもそこへ行く一番の目的はマギーとパーラを<スーヤコ>に誘うのが一番の目的といえる。
転校による前学校での実績欄に出席日数も対象に入っているのだが、計算ずくで休養していたから問題はない(2ヶ月は負傷による欠席=病欠で、一ヶ月はリハビリをしていた。二ヶ月半は負傷による休学を認められたが十日は欠席扱いにされた)
「やっとお前を祝えるのに転校するのか」
「とにかく祝おう。いつでも頼りに来いよ」
マギーとパーラが残念そうにうなだれているので、リオが明るくふるまう。
「ありがとう。パーラ、マギー。またここで」
そしてこの日の夕方、メッレン設立の武術スクールに話を聞きにいく。メッレンは経営をその道のスペシャリストであるシダンという方に任せて、理事長自らコーチもするそうだ。シダンという人物から武術スクールの値段を伝えられた。
「入学料は十五万。授業料は一ヶ月三万です」
そのスクール必要経費に、リオは目を丸くする。
「そんなに安いんですか? BMSはその二倍以上かかっていたのに…………」
続けてメッレン理事長から補足説明。
「ここは実力が全て!! 全生徒に公平なチャンスを与えて期待が持てない奴は即、退学さ」
「試合の勝敗より、やる気がある限り教えてもらえるみたいですがあっていますよね? 努力・修行に励まなきゃ」
太陽のような眩しい笑顔で、リオは新スクールに歩み出していくのであった。
ほぼ編集できたのですが、まだ来週くらいまでかかりそうです。
やはり第一部完結な形になるかと。
第二部は、不定期で状況更新したりするかもしれません。




