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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
リオの試合の行方・もう一人の主要人物?
23/88

決勝戦前一騒動 2 / 決勝戦開始直前

「あれ? 今日の仕事は遅くていいの?」

 母親にだるそうに言われた。

「何の話をしているの? もう一度言って」

「試合に遅刻したらお母さんのせいだよっ」

 リオは人のせいにすることで平静を保とうとしていた。そんな事を言えば、母親に怒られるのは当たり前である。


                   2.


 

 母親に正しく躾けられてリオは気後れする。虚勢を張ってみるが恐怖心はぬぐえなかった。

「まったくもう、朝から一体何なの?」

「急ぐからもう自分でやるよ」

 逆切れ気味にリオは支度をしかけたが、すでに荷物は整っている。後は仕上げれば完璧という状態だ。

「これは誰が? お母さんだろうけど」

「誰がやっても余計なことなんでしょ。自分で一からやり直せばいいじゃない」

 言葉をつまらせたリオだったが、食卓に自分の好物が並んでいるのをみて母親を怒らせたことを忘れかけた。


 母親が麦茶を乱暴に渡しながら謝罪はいつか? と問われているように空気で感じる。機嫌を直してもらおうと普段はしない皿洗いで間接的に感謝の気持ちを表現した。


              

             決勝戦当日 会場までの道中


 

 家を出て、貧民街→中立通り→勝ち組通り→コロシアム通りと進んできたリオは今、ウォーミングアップもかねてジョギングを始める。リオは周囲の飲食店が食欲促進の匂いをさせていて空腹状態になる。特に焼きたてパンの匂いはたまらなかった。

「たしかカルテリオ選手ね。良いゲームを」

 リオは勝ち組セレブに名指し(!)で挨拶されたので深深と会釈を返す。


 リオはパトリオープン会場の騎士の像に歓迎されているように感じた。会場入口の門番にもリオは声援をもらう。

「また、大逆転のようなハラハラする試合を頼むぞ」

「準決勝の再現か~~。何にしろ全力を尽くします。声援はとてもありがたいですね」



        試合開始当日 午前十時三十分~午後十二時三十五分までの出来事


 

 試合が始まるまでのいざこざが大変だったので重要なことだけ記す。

リオはマギーの好意で荷物を整理してもらっている際、お守りが見当たらないと聞かされる→リオは昨日の夜の行動を思い出して激しい後悔をする。リオはお守りがないことで自信を失っていく→そんな彼を見かけたマギーがリオに内緒で彼の家へお守りを取りに向かう(リオが青ざめた顔で、部屋のゴミ箱あたりに叩きつけたとうわ言のようにつぶやいていたから)


 マギーは貧民街に続く道の手前で人のすべてを疑う馬車の運転手の御者に怒りを覚えながらも、耐えて(貧民街まで走って五分くらいの位置に降ろされたので走る)貧民街の入り口でリオの母親と出会う→彼の母親にお守りを渡されたマギーは二人で会場に行きましょうと誘うが、リオの母親が隣家のオバさんに捕まる→マギーが貧民街の路地を抜けて会場への入り口に近道(場所が通る道のこと)しようとした所、ナイフを持った貧民少年三人に囲まれる→その頃、リオはマギーという最後の心の支えを見失って混乱していた→リオが錯乱のあまり警備員を倒してしまったが、警備部長ジッツは「有無をいわさず部屋に押し込もうとしたな」と差別派警官たちを一喝して持ち場へ、そしてリオに自分は君と対等に接すると約束する。



 マギーは明るく振る舞って、リオにお守りを持ってきたことを伝えて渡す→マギーはその行動をリオから金切り声に近い感じで心配していたと聞かされて素直に詫びる→リオが荒れていた時、騒騒しさはもれていて、ファーディがジッツに何事かと聞く→すぐ治まるというジッツの態度にイラッとしたようなので、彼を激励に来ていたメッレンが別の話をふる→ファーディにお守りの件を思い出させるため、メッレンは『リオの話』を多くして不審がられながらも思い出させることに成功したのである。


               試合当日 午後十二時四十分



リオは決勝戦の聖地Aコート通路に立つ。

「僕は優勝してみせる。負けないぞ」

 彼は今までに味わったことのない敬虔な気持ちになった。観客の声援の中、コート内に歩を進めてお守りを頭上に掲げる。

 



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