ラウンド2 準決勝終了後の夜
リオ選手への記者会見が始まる。
「田中リオ選手、元王者に良く勝てましたね」
その会見場に別の記者が慌てた様子で走ってきた。ベテラン記者は最初、後輩記者を諌めていたが、後輩記者の耳打ちな話で態度が一転する。ベテラン記者が「また後日改めて記者会見させて下さい、申し訳ない」と平謝りして、それで二人の記者がどこかへ走っていった。見守って(見張って?)いた角居教官はがっかりしていたが、リオは気が楽になる。そして記者会見場を後にした。
「リオさん、試合後にハメを外すのは厳禁ですよ」
教官を見送って姿が見えなくなってから、リオは注意を無視してなじみのお店でマギーと盛り上がろうと考えている。控え室に戻った瞬間、祝福を受ける。マギーから少し手荒い祝福!
「お前の将来は伝説の選手になってるかも?」
「メッレン選手は強かった。ファーディ選手用に温存予定の技も使わされたし。でも試合内容としては結構満足の出来だったよ」
試合に少しケチをつけつつも(リオが自分の心境として納得していないだけともとれるが)、マギーがメッレンに勝利した偉業を讃えてくれている。
「まだまだ技、未完成なんだろ。精進しないと」
「まあねっ。でも結果がすべての世界さ」
準決勝終了後 控え室にて
控え室に忍び込んでまで勝利の祝福をしてくれているマギーに、リオは熱い試合の話で盛り上がる。リオは、メッレン選手がお守りの話を振ってきたのは彼が何かを知っているから? と気が気ではなかった。そこに「マギーからの『彼がお守りの話を知っているにしては敵の追っかけ?』とあらぬ誤解を受けるからやめておけ」と忠告を受ける。リオはファーディがまだ何も思い出す様子もないのに、メッレンに何か教えてもらってもむなしいだけと考えてしまう。マギーに「昔の話なら忘れている可能性もあり」と聞かされてリオは恨めしそうにマギーを見つめた。リオはマギーに『頭をぐりぐりなでまわすか』と自分の行動を先手打たれてしまい、何も言い返せない。
準決勝終了後 控え室から店→ホテルへ
リオはマギーと一緒に馴染みの店に行く気だ。マギーも乗り気で、控え室のドアを開けようとした。先に角居教官が開けてきたのでマギーが飛びのく。教官はドアの影で見えないマギーに気づかず、リオに祝賀会に来るように支持して去っていった。リオはマギーと<スーヤコ>に行く予定をしぶしぶ断念して、押し付けられた参加義務を前に諦める。そんなリオを元気づかせようとマギーがいろいろ教える。
「パーティ参加にはタキシードさ。何着でも僕のを試着していい。気に入ればあげるよ」
リオはマギーの家で試着させてもらってタキシードの色は基本色(黒など)より一見奇抜な空色が異常な程(?)似合うのがわかった。似たような礼服を何着かもらう約束する。
その後でリオはマギーにホテルの入口まで連れていってもらった。リオが入館前に気を落ち着かせていると、ホテルのドアマンに声をかけられる。
「いらっしゃいませ。受付はドアの先になっております」
リオは貧民だと思われない事実だけでも嬉しかった。祝賀会の受付をすます。
「リオ様、学園長様がお待ちしておりましたよ」
リオは受付係にお礼を言ってBMS学長を探すつもりでいた。そんな折、BMS学長のスピーチが始まる。スピーチ終了後にリオは学長に手本通りの会釈をした。
学長はリオの姿を見ただけで満足したのか何も言ってこない。パーラにしか興味のない会長だから気にしない事にした。夕食会が始まる。そこで、この場では初めてゾン教官から心のこもった祝福をもらう。ゾン教官からレディの紹介もされた。
「あらっ、ごきげんよう。時の方」
その貴族娘はリオに興味を持っていそうだが、気にせずゾン教官だけを注視する。
「メッレンって男、年だもの。引退して当然」
「実力を経験でカバーするのは言葉にする異常に大変なんだ。軽軽しく人の非難をしないように」
リオは偉人(貴族)のレディの花飾りを直した。
「ありがとう、気が利くのね」




